鳥海山
・期間 2005年8月6日(土)
・山域 鳥海山(東北)
・形態 単独・往復コース
・行程 鉾立→御浜→七五三掛→沢コース→新山→外輪山コース→七五三掛→御浜→鉾立
※ 今年の6月、庄内平野からチラッと拝んだ真白き頂が目に焼きついて離れない。そーだ、出羽の名山、鳥海山だけを目指すのは勿体ない。月山、大朝日岳と組み合わせて、日本海を眼下にする象潟口コースから頂上を往復することにした。
8/6(土) 晴
朝日山の家(4:20)→鉾立(6:45)→御浜(8:30-9:00)→七五三掛(9:40-9:50)→沢コース中間点(10:30-10:40)→御室(11:30)→新山頂上(11:50-11:55)→御室(12:10-13:10)→外輪山コース中間点(14:00-14:10)→御浜(15:00-15:15)→鉾立(16:30-17:00)→朝日山の家(19:00)
昨日は、大朝日岳から降りて来て、又もや”朝日山の家”にお世話になった。昨夜も奥さんに例のオニギリを頼んでおいたのに、カウンターの上にオニギリはない。夜も明けぬうちから起こすのも申し訳ないので、このまま
車に乗り込み登山口の鉾立を目指した。
途中、コンビニでオニギリ2個を仕入れて鉾立の駐車場に到着したのは、6時30分を過ぎていた。今日は土曜日、駐車場は既に7割方が埋まっていた。三日続きの晴天、早くも容赦ない太陽の熱線を浴びながら山支度を始めた。
このコース、最初は緩やかな石畳の階段で歩き易い。突き刺すような日差しの中、賽の河原で小休止すると、遅咲きのニッコウキスゲがポツポツとオレンジ色のラッパを開いていた。
今日は、朝日岳と違って日帰山行、サブザックの荷は軽いが、水が期待できないので3リットルを担ぎ上げなければならない。緩やかな石畳を更に登ってゆくと、緑の草原の中に御浜小屋が現れてきた。”御浜”の由来、多分、ここから日本海の浜が眼下に見えるからだろうが、俺的には、緑の草原が砂浜
のように広がっている風景に由来して”御浜”と名付けたと解釈したい。
小屋の裏手に廻ると景色が一変した。丸い鳥海湖が紺色の水を湛え、道端に咲く花々が絶妙のアクセントを添えていた。鳥海湖を眼下に、コンビニで仕入れたオニギリを頬張り、長めの休憩とした。
”御田ケ原”の丘に差し掛かると正面に鳥海山の山頂が見えて来た。庄内平野から眺めた端正で女性的な三角錐とは違って、ここから見る鳥海はゴツゴツした岩山である。
登山道には団体さんの行列が続いている。道幅が狭くなってから彼等を追い越すのは至難の業、今の内に彼等を追い越そうと平坦な道を走って駆け抜けると、意外と早くに七五三掛に到着した。”七五三掛”と書いて”シメカケ”と読むらしい。信仰の山である鳥
海山、広場の片隅に地蔵が祭ってあるので、どうやらこの地蔵に由来した名前なんだろうと俺なりの解釈を加えた。
登山道は、ここから道幅の狭いゴツゴツとした道に変わり、二手に分かれる。左手が沢コース、右手が外輪山コースであるが、雪渓の涼しさを期待して登りは沢コースを選んだ。ザレた道を下って行くと目の前に”千蛇谷雪渓”が現れて来た。北岳の大樺沢の思わせる見事な雪渓である。
雪渓の涼を期待したが風もなく蒸し暑さは変わらない。雪渓を登りきった岩陰で小休止してから、最後の急登を我慢すると程なく”頂上御室”へ到着してザックを置いた。
この広場、多くの人でごった返している。昼飯は後にして新山頂上へ向けて空身で出発した。
ゴツゴツとした岩に取り付いて、12時前に新山の頂上へ無事に到着、狭い山頂は数人も集まれば一杯である。勿論、タバコを吹かす場所もない。写真だけを撮って早々に引き上げた。
御室まで戻って、神社に参拝してから売店でビールを買って一口飲むと、”キーー、旨い!”の言葉を自然と発してしまった。
広場の片隅で昼飯の準備に掛かる。定番のインスタントラーメンに魚肉ソーセージ、デザートは桃缶である。
腹も満足したところで外輪山
コースを辿って下って行った。千蛇谷雪渓から吹き上げる涼風を期待したが、ここもダメ・・・、兎に角、暑い。振り返ると御室と新山ドームと頂上雪渓が一望できた。
ハイマツに覆われた道、溶岩が砕けたザレた道を眼下の草原と雪渓を眺めながら下って行った。
七五三掛で小休止、御田ケ原の丘を登り返すと御浜小屋はもう直ぐである。御田ケ原の花畑を眺めながらゆっくりと歩いて行く。この場所、以外にも花が結構咲いている。黄色、青色、白色の花々が咲き誇っているが、名前が判るのはバイケイソウくらいのものである。
御浜小屋まで下ってくる。軒先の冷えたビールが”飲んで!飲んで!”と誘惑の甘い声を掛けてきたが、ここは我慢、『えーぃ、ビールは宿に帰ってからジャー。』って、頑強に断りを入れる。代わりにオレンジジュースを所望して、タバコを吹かすと、緑一面の草の海へ向かって青白い煙が流れて行った。
御浜から歩いて1時間少しで鉾立の駐車場に到着した。夏真っ盛りの炎天下、良くも一日歩いたものである。健康な我が身に感謝である。
庄内平野を貫く山形自動車道を飛ばして、あの”朝日山の家”へ向かった。鶴岡IC手前からは、端正な三角錐の鳥海山が緑色に輝く稲穂の海に浮かんでいた。
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鳥海山の花々(写真をクリックすると拡大します。名前は判りません)
◇あとがき
3日間お世話になった”朝日山の家”とご主人について触れておかなければなるまい。
山形県西川町の大井沢集落にある山と渓流釣りの宿である。釣りのことは良くわからないが、まず、宿の正面に「槇 有恒」の看板が掲げてあるので訳を聴くと、ご主人の先代が朝日連峰の主で、槇さんが朝日に来るときはいつもガイドを務めたことが縁で、宿を開業するに当たって槇さんに相談したところ、”朝日山の家”と命名してくれたそうだ。この宿はあの有名な登山家である槙さん所縁なのである。
次に熊の話を聴いた。「朝日連峰は熊が多いと聞きますがどうですか?」と聴くと、確かに熊は多いがこの地域はブナが多く残っていて、山の生態系がこのブナによって守られていると言う。だから、熊にとってはエサが豊富なので、わざわざ危険を冒してまで人間が暮らす場所まで降りてこないと言う。
最後に渓流釣りの話になった。宿の直ぐ前には寒河江川が流れており、この川は全国でもトップクラスの川釣りのメッカで、シーズン中は多くの釣り客を迎えるとらしい。勿論、ご主人は釣りの達人で、今は魚の餌となる水生昆虫を研究しているようだが、全国で始めてキャッチ&リリースを歌った場所であると自慢げであった。魚を絶やさないためには、キャッチ&リリースしかないことをカナダやアメリカの国立公園で学んだと言う。そう言えば、同宿した客は全員が上品な釣客で、アラスカやカムチャッカまで行って大魚と格闘したような話を酔いながらしていたグループも居たっけ・・・。
この宿が気に入ってしまった。機会があれば秋と春に訪れてみたいものである。