乳頭温泉郷「孫六温泉」
| <2008.7.21> 乳頭山から田代平経由で下ってくると、乳頭温泉郷の最奥にある「孫六温泉」へ出る。 この温泉、歩いてしか行けない北東北の秘湯中の秘湯、名湯中の名湯だが、マスコミへの露出度が高くなったせいでミーハーな客が増えていると言う。(勿論、俺もその一人だが・・・) 山から下りたら、何を差し置いても”温泉”の俺は、今回もこの秘湯&名湯に浸かるべく、昼飯も食べずに急いで下りて来た。なぜ急いだのか?・・・、それはバスの時間が気になったからである。ここから入山地の”アルパこまくさ”まで10kmの道をバスで戻らなければならないのである。 てな訳で、猛暑の中、孫六温泉まで下りてくると、3時少し前であった。バスは3時40分、ここからバス停まで徒歩で20分、とても風呂に入る余裕はない。何と中途半端な時間なんだろう。もう1本遅らせると、日が暮れてしまうし、仕方なく名湯の匂いだけを嗅いで我慢することにした。 縁側では風呂上りの若者が、タバコを吸いながら一人で缶ビールを飲んでいた。しかも、皿に大盛りの枝豆を摘みながら美味しそうにグビグビとやっている。出発まで20分の時間がある。俺も自販機でビールを買って、タバコを吹かすために、灰皿のある彼の傍へ移動した。すると、彼は「どうぞ、一緒にどうですか?」と、枝豆を俺の目の前に差し出したのである。ビールの最愛の友である枝豆に目がくらんだ訳ではないが、彼の好意に甘えることにした。当然、彼との会話となる。彼は、この温泉を目当てに名古屋から一人でバイクを飛ばして来たと言う。『凄いねー!!』って感心していると、軒先で泥のついた野菜を洗っていた宿の女将さんが、「どうぞ、食べてくらんしょ。」とばかりに、大盛の枝豆を持って俺の傍にやって来た。『はー、どうも、お幾らですか??』って財布を出すと、サービスだから金は要らないと言う。えー、本当に良いのかなー?。だって、350円で買った缶ビールに、この大盛りの枝豆がサービスなんて、申し訳ないので、自販機でもう1本追加して美味しい枝豆を戴いた。 出発の時間になった。バスの出発まで、丁度20分である。宿の前に掛かる橋のたもとには名古屋ナンバーの大型バイクが駐車してあった。この橋を渡って暫く歩くと、駐車場に出た。んーん??、このコース、駐車場なんてあるのー・・・?。方向的に間違ってないかなー。?マークだらけになったとき、若いカップルが車から出てきた。『バス停はこの先ですよねー?』と尋ねると、逆方向だと教えてくれた。『えーー!!』っと!マークだらけのパニック状態、兎に角、走るだけ走ってみよう。猛スピードで走れば、間見合うかも知れない。残り10分、時計と睨めっこで、孫六温泉に向かって猛然と走り出した。宿の前まで戻ってきた。縁側では先程の彼が怪訝そうな眼差しを向けている。『バス停を間違えたんで・・・。』と叫びながら、彼の前を駆け足で通過し、川沿いの砂利道を一所懸命に走った。兎に角、走った。バス停が見えて来た。運転手の笑顔が見える。懸命に走る俺の姿を見て、待ってくれているようである。 今日の山は、最初の”アルパこまくさ”で走って、最後の”孫六温泉”でも走ると言う、とても慌しい旅になってしまった。それにしても、この孫六温泉を味わえなかったことは非常に残念だが、女将の気遣いが嬉しい正真正銘の”名湯”である。
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