三嶺
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百名山として人気がある剣山に近くに、三嶺と言う山がある。 |
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![]() 見ノ越から眺めた三嶺 |
貞光ゆうゆう館で朝を迎えた。 |
![]() 名頃県営駐車場 ![]() 案山子(その1) ![]() 案山子(その2) |
見ノ越から県道を下って名頃集落に着いた。 県営の駐車場は、新装されただけあって立派な施設だ。 足の爪は心配していたほどのダメージはないが、今日は歩き慣れたブーツに履き替えよう。 支度を終えて、ネットでも紹介されたご自慢の案山子人形を撮影していると、背後で地元の人と登山者の会話が聞こえてきた。 「軽トラの荷台で良かったら乗って行きませんか?」 『えー、本当に良いんですか?お母さん、折角だから甘え ちゃおうか!』 「構いませんよ。どうぞ」 振り向くと中年夫婦と青年の会話であった。 (軽トラの荷台と言ったよなー?荷台には犬が繋がれ、作業道具が積まれている。) (乗って行くと言うことは、登山口まで送ってくれるのかなー?) 「私も相乗りしても良いですか?」 咄嗟に出てしまった一言を取り消すことはできない。 『どうぞ、僕もこの軽トラで登山口まで行きますから・・・』の言葉に甘えることにした。 助手席に奥さん、俺と旦那さんと「ララ」と言う名前の雑種の二人と一匹が軽トラックの荷台に乗って、一般車進入禁止の林道を走り出した。 〇ご夫婦を紹介しよう。 |
![]() 平尾谷登山口 ![]() 始めの一歩 |
歩けば50分の凸凹道を10分で登山口に到着した。 三嶺までの登山道は、途中に分かり難い場所が有ると青年が言うので、初心者のご夫婦は青年と犬のララと一緒に登ることになった。 俺は、丁寧にお礼を述べて、一人で歩き出した。 |
![]() テープと窪みを頼りに登って行く |
落ち葉が登山道を覆っているが、テープと地面の窪みを頼って行けば迷うことはない。 鹿の食害に備える防護ネットがモミやナラの幹に巻かれている。 何処の山にも言えることだが、獣害は深刻な問題だ。 |
![]() 鹿避けネット |
落ち葉を踏みながら自然林の急な斜面を登って行くと、目の前に鹿避けネットが張ってあった。 |
![]() ダケモミの丘 ![]() 通行止めの注意書き |
100mほど進むと出口があり、登山道と合流した。 下りの方向を見ると、立派な指導標が立っていた。 ここがダケモミの丘かな。立ち止まって地図を確認した。 直ぐ傍のモミの幹に注意書きが巻かれ、ダケモミの丘から下の登山道は崩壊により通行禁止になっていた。 |
![]() 休憩場所 |
10分ほど先に進むと、休憩に丁度良い場所があった。 歩き始めて1時間も経っていないが、小休止することにした。 一服を終える頃になって、犬のララを先頭に、奥さん、旦那さん、青年の1匹と3人が登ってきた。 「鹿避けネットのことを話していなかったけど、分かりましたか?」 『はい、ネットの中にリボンが見えたので、扉を開けて入って良いんだなと判断しました。』 会話もそこそこに1匹と3人は先を歩いて行った。 |
![]() 気の地良い登山道 |
登山道は、ここからも適度な傾斜が続き、モミの木から灌木が疎らな道に変わった。 空の広さが増して、稜線が近いことが推測できた。 |
![]() 振り返ると剣山と次郎笈が綺麗だ |
暫く歩くと、ザレた斜面をジグザグに刻む急傾斜となり、視界が一気に開けた。 剣山と次郎笈が双耳峰のように見えた。 前を行く1匹と3人に追い付いた。 青年が道を譲ってくれたので追い抜くと、リードを外したララが俺の後から離れない。 犬好きな俺は、「大丈夫ですか?」と青年に声を掛けて、ララと一緒に頂上を目指すことにした。 ララは先に行ったり戻ってきたり、登り慣れているんだろう。兎に角、元気だ。 |
![]() 笹原のトラバース |
登山道は笹原のトラバースに変わった。 前方に岩峰が見える。頂上はあの先に違いない。 |
![]() 頂上方面(右は三嶺池) ![]() 笹原と三嶺池(中央奥が頂上) |
岩峰を巻いて一登りで三嶺池に出た。 |
![]() 笹原を歩いて頂上へ向かう |
昨日の笹ヶ峰の凶悪な笹と違い、足首に触れる笹の感触が何とも気持ち良い。 |
![]() 三嶺の頂上(遠くに石鎚山:右奥) ![]() 剣山(左)と次郎笈(右) ![]() 東側の景色 |
天気も最高、気分も最高で頂上に立った。 頂上からは西側の展望が一気に開け、四国山地の名立たる山稜が手に取るようだ。 剣山と次郎笈は勿論のこと、笹ヶ峰から石鎚山まで遠望できる。 この景色に出逢えるのだから山は辞められない。 ララが駆け足で登ってきて、頂上をウロウロしている。 ご夫婦は未到着だ。 |
![]() 笹原とヒュッテと剣山 ![]() 三嶺ヒュッテ ![]() 乾杯アイテム |
頂上からの景色を満喫したところで、ヒュッテまで戻って小休止することにした。 ララも後から付いてきた。 ヒュッテの前の岩に腰掛けていると、ララを支柱に繋ぎ終えた青年がバーナーでコーヒーを沸かし始めた。 「コーヒーどうですか?」 『ありがとうございます。折角ですが、これが有るから遠慮しておきます。』 俺は、ザックからビールと魚肉ソーセージを出して青年に示した。 ビールを飲みながら(青年はコーヒー)四国の山の話になった。 彼はこの山しか登ったことがないと言う。 〇ここで青年を紹介しよう。 去年まで岡山県倉敷市に在住、昨秋に初めて三嶺に登って四国の山に一目惚れ。 年齢は30代前半、仕事を辞めて妻と子供を倉敷市の自宅に残し、単身で三好市の名頃集落に暮らす。 地元のNPOに所属。三好市役所から三嶺ヒュッテの管理を委託されている。 これからは、仕事の合間に四国の山を全て登りたい。 今日はヒュッテの清掃に登って来た。 〇ララのこと 青年の友人が飼っている白色の中型犬、雌の雑種。 去年の秋に天国へ逝ってしまった我が家の駄犬に良く似ている。 散歩不足なのでこの山に連れてきた。 三嶺は何度も登っている。 人に慣れて吠えることはない。 三嶺から眺める景色は確かに絶品だ。 仕事を辞めて単身で山奥の集落に暮らし、四国の山の全制覇に意欲を燃やしている青年の決意と行動は理解できなくもない。 俺は還暦を越え、第二の人生に入ったとは言え、そんな決断はできない。 年金暮らしまでは、しがないサラリーマン生活を続けるしかない。 |
![]() 登って来た道を下る ![]() 登りで休憩した場所 |
ビールを飲み終え、おにぎり1個を腹に収めた。 ララの頭を撫でて、青年にお礼を言ってから下山した。 登ってきた道をそのまま下るのは興に欠けるが、仕方ない。 ダケモミの丘まで戻り、ネットを通過して登山口まで一気に降りてきた。 爪が浮いた感じは抜けないが、足の調子は悪くない。 |
![]() 青年の軽トラックと東屋 |
登山口の東屋で小休止した。 コンクリートの床は鹿の糞で覆われていた。 |
![]() 林道脇に立っていた携帯エリアの看板 (キャリア別に通話可否の表示があり、親切この上ない) (この看板も青年が所属しているNPOが設置している) ![]() 林道から林の中を通って駐車場へ戻る |
林道を暫く歩くと、登山道は林の中をショートカットしていた。 駐車場までもう直ぐのところで、若いカップルが登ってきた。 「ここから頂上まで、どれ位で行けますか?」と男性 時計は13時になろうとしている。山の恰好からして素人だ。 『3時間は掛かると思いますよ。』 「3時まで登れなかったら、引き返してきます。」 『その方が無難ですね。』 |
![]() 駐車場まで戻ってきた |
13時過ぎに戻ってきた。 何時もなら余裕の時間だが、温泉に入って、飯を食ってから、兵庫県の氷ノ山の近くまで300km近い移動が残っている。 綺麗なトイレで顔だけを洗って、ナビの目的地を剣山木綿麻温泉にセットした。 |