米山

・期間 2014年5月3日(土)
・山域 新潟県
・形態 単独・ピストン
・行程 大平→(大平コース)→二ノ字→米山→(大平コース)→二ノ字→大平

※ 今年のゴールデンウィークは、新潟シリーズに決めた。先ずは手始めに名山「米山」に登った。

5/3(土) 晴れ→曇り
大平集落(10:05)→米山登山口(10:15)→二ノ字(11:0011:10)→711峰(11:20)→米山山頂(12:15-12:50)→二ノ字(13:4514:00)→米山登山口(14:25)→大平集落(14:35)



米山は、♪米山さんから雲が出た〜♪の名調子で唄われる民謡「三階節」の山だ。
そして、日本三大薬師「米山薬師」を本尊とする信仰の山、
更に、日本海を航行する船乗りが目印とした海上交通の山でもある。
この山は、往時から様々な形で里人や船人と深い関わりを持っている越後の名山だ。



国道から左折したら米山が正面に見えた


左が登山道


大平集落の駐車場(帰りに撮影)
 今年のゴールデンウィークは、“後半の天気が安定している”との予報にウキウキ気分で、早朝(深夜)に自宅を出発した。

 しかし、やっぱりと言うべきか!5時前だというのに関越道は大渋滞。そして、渋滞の中では必ず追突事故が起こるものである。
(高坂SAの先で、俺の直ぐ後ろを走っていた車が後続車と追突事故を起こした。その先も、何か所かで事故渋滞だった)
 自然渋滞と事故渋滞が重なって、渋滞○○キロの警告表示が普通に思えてきた。

 スイスイと走れるようになったのは、前橋ICを過ぎた当たりからだった。
 塩沢石打SAで朝飯を食って田園風景の中を北進すると、右手に八海山や越後駒ヶ岳の山々が連なって見えた。

 長岡JCで北陸道に合流して南下を続け、柏崎ICを過ぎた当たりまで来ると、前方に綺麗なピラミッド型の山が見えてきた。
 
 あれが、米山だー。
 散歩をねだる我が家の駄犬のように、早くも心臓バクバク、喉カラカラ、お尻ムズムズ、尻尾フリフリの興奮状態に陥ってしまった。

 国道8号へ降りて、米山入口と書かれた大きな看板を左折すると、正面に米山の立派な山容が迫ってきた。

 林道を走り、大平集落の駐車場へ着いたのが10時前。自宅から400km近くも走り、7時間以上が経過した。
 そんな距離を走って、この時間から登り出すなんて無謀じゃないの?
 差に非ず、そこはベテラン山屋のR君(俺)は、計算づくなのである。

 ※ 駐車場スペースは20台程度、仮設トイレが設置してある。


正面に廃屋が・・・

米山登山道の案内に従って歩き出すと、朽ち掛けた廃屋が無残な姿を曝していた。


登山口への道


大平コースの登山口
 

 林道に再び出合って更に進むと、直ぐに立派な標識が立つ登山口があった。
 
 米山には、4つの方向から登山道が伸びており、これから歩き出す登山道(大平コース)が、最もポピュラーとされている。

 ※ この登山口にも数台の駐車スペースがある。


階段が続く登山道
 


 初めから階段状の急坂を黙々と登って行った。

 一汗掻くごとに高度が上がって行く感じが、何とも言えない。


緩やかな道


ミツバツツジ


イワカガミ

 




 緩やかな傾斜に変わると、三つ葉ツツジが綺麗に咲いていた。

 下に目を落すと、イワカガミが薄ピンクのラッパを広げている。あ〜〜!春の山だなー。


日本海だー

 灌木の中の急な道を暫く登って行くと涼しい風が通る場所に出た。
 
 背後には、大平集落の向こうに日本海が大きく広がっていた。


二ノ字

 階段状の急坂が尽きると、「二ノ字」と呼ばれる広場に出た。

 正面の樹木が上手い具合に切り払われ、米山の頂が綺麗に見えた。

 ここまでは順調な山歩き。時計を見ると大平集落から丁度1時間、ベンチに腰掛けて休むことにした。


711峰

 二ノ字で小休止して10分ほど歩くと「711峰」のピークに立った。

 看板には、標高がそのまま山名となっているのは、日高山脈の「1839峰」など北海道には幾つか見られるが、本州では珍しいとの薀蓄が書いてあった。


ブナの林と残雪

 711峰から一旦下ると、ブナの大木が林立する道に変わった。

 ブナの若葉が初々しく、沢筋には雪が残り、春山の典型的な景色を描いていた。


ガンバレ岩

 ブナ林を過ぎると、ロープや梯子が架かった急傾斜が続いた。
 
 多分、この当たりが胸突き八丁だろうが、誰が刻んだのか?登山道の真ん中に「ガンバレ」と朱書きされた岩が現れた。

 ガンバレとは励ましの言葉だが、見方を変えれば上から目線の言葉である。

 急坂を喘ぎながら登っているとき、下山者から“頑張って下さい”と声を掛けられることがある。“ありがとうございます”とお礼を返すものの、この短い会話の中に上下関係、つまり下山者の心の中には“俺は頂上を極めたんだよ!君も頑張りなさい”と言うような、優越的な気持ちが含まれているように思えてならない。

 そんな訳で俺は、「ガンバレ」の声を掛けないように意識している。(俺って、天邪鬼かなー?)

 山に登っていて、“頂上まで○○分”だとか、“○合目”と言う表示を目にするが、“自分の位置は自分で測る”ことを習慣としている俺にとっては、“大きなお世話だ!”って感じる時がある。安全で親切な表示とも言えるが、鬱陶しいくらいの過保護も勘弁して欲しい。(これも、捻くれ者の考えなのかなー?)

 「ガンバレ」の一言で、話がこれほど展開するとは、俺って素直じゃないよなー!


ガスの中を歩く

 ガンバレ岩から先に進むとガスが出てきた。

 この場合は、ガス=雲なんだろうけど、米山のような独立峰は下界が晴れていても山頂付近は雲の中ってことは良くある。

 


戸羅場跡

 残雪が多くなり、倒れた木々を掻き分けながら進んで行くと、「戸羅場跡」と言う標識が雪の中から顔を出していた。
 「戸羅場」とはどんな場所だろうか?「狩場」と同じ意味なのかなー?


頂上の避難小屋


山頂に建つ薬師堂


米山薬師の説明文

 戸羅場跡から10分も歩くと、米山の山頂に着いた。
 立っているが辛くなるほどの強風で、下界は雲に隠れていた。急いで薬師堂にお参りを済ませ、避難小屋に逃げ込んだ。

 避難小屋の先客は10人ほどで、それぞれのスタイルで昼食を楽しんでいた。
 俺も昼飯にしよう!ビールを買い忘れたので、山頂乾杯の儀式は省略して、直ぐにバーナーに着火した。


緑が綺麗な登山道


二ノ字まで戻ると米山は雲の中

 腹も一杯になったし、下山しよう。登った道をそのまま引き返すのは不本意だが、この山は周回ルートがないので仕方ない。

 711峰を登り返して二ノ字まで戻ってくると、一人の女性が休んでいた。
 俺も隣のベンチで一休みすることにした。
 周りの木々が、日本海側から吹き上げてくる西風で大きく揺らいでいたが、海側に密生した灌木が強風を遮り、登りの時には、はっきりと見えていた米山の頂は厚い雲に覆われていた。

 「どこからですか?」と女性に声を掛けられた。
 『千葉からです。』と答える。
 「まー!そんなに遠くから、大変でしたね。」
 『今年のゴールデンウィークは、新潟の山を登ろうと思って夜中に自宅を出てきました。』
 「それは、凄いですね。新潟では、今日から高校野球の予選をやっているんですね。主人が野球観戦に夢中なんで、私一人で米山に登ろうと思ってここまで来ましたが、頂上の天気が悪そうだし、引き返します。」
 『んーん、それは残念ですね。頂上は、風が強くて景色はさっぱりでした。地元なら、また来れますしね。』と、何の慰めにもならない言葉を返してしまった。

 夫は野球、妻は山登り。夫婦と言えども、それぞれの楽しみがある。
 我が女房も留守居役に徹している訳ではないだろう。きっと今頃は、ショッピングやグルメに夢中になっているに違いない。


ミツバツツジの林を下る


無事に下山

 女性に「お先に!」と声を掛け、ザックを背負った。

 日本海が見える場所まで下ってきた。
 空には低い雲が垂れ込め、海は灰色に濁り、大平集落から一条の白煙が昇っていた。昔と変わらない農山村の風景だ。
 
 再び林の中の道を下って行った。
 今日の山も終わりが近い。