三瓶山


・期間 2018年9月22日(土)曇り
・山域 島根県
・形態 単独・ピストン
・行程 西の原→扇沢出合→男三瓶山→扇沢→孫三瓶山→扇沢→扇沢出合→西の原


※ 出雲の名山に登るチャンスがやってきた。幾つかある登山道のうち、景色の良い西の原コースを歩いた。

 西の原登山口(8:10)→桜の木の下(9:40-9:50)→男三瓶山(10:25-10:50)→扇沢(11:10)→孫三瓶山(11:45)→扇沢(12:00-12:10)→西の原登山口(12:45)


出雲は神話の国である。
三瓶山も「国引き神話」に登場する山だ。

出雲風土記では、出雲の神々が伯耆大山と三瓶山に杭を打って綱を掛け、
この二つの山を支点として朝鮮半島の一部を日本列島に引き寄せたのが、
今の島根半島(出雲)だと言う。

何ともスケールの大きい話であるが、こんな神話が残るのは、
出雲人の先祖は朝鮮からの渡来人であり、彼らが日本海を渡るうえで重要な目印が、
伯耆大山と三瓶山の二つの山だったとの見方もできる。

海人が山を大切にする理由は、”山”の恵みが海を豊かにすること以上に
安全航海のポイントが“山”にあるからである。


駐車場にレンタカーを止めた
(雲に隠れているの孫三瓶山)



案内図


「山の駅」の看板を掲げた管理棟
 9月下旬に1泊2日の日程で、愛媛・広島へ出張に行くことになった。
 仕事が終われば3連休、広島でもう1泊して現地で山遊びが出来ないだろうか?
<それって”就業規則上はどうなの?”。出張ついでのプライベート旅行、世間ではNGの会社もあるようだが、我が社では旅費等の不正がなければ、”自己責任”ってことで黙認している。>

 登山口までの移動距離、帰りの飛行機の時間、景色の良いルート、半日で歩ける行程。この条件を満たす山はきっと有るはずだ。
 ネットで検索すると、ピッタリの山が見つかった。

 9月21日(金)、広島市内での会議が定刻(就業規則上の終業時間)に終わり、レンタカー屋に直行した。
 雨の中を高速道路を飛ばして三次市内のホテルにチェックイン、事前に発送しておいた山道具を受け取り、遅い夕飯を食べ終わると、雨が激しくなってきた。

 
天気予報では、明日の朝まで雨が残るらしい。
 シャワーを浴び、一杯飲んでからベッドに入った。



 5時前に目が醒めた。
 カーテンを開けると、外は弱い雨が降っていた。

 ”江の川”沿いの国道を北進し、途中のコンビニで水とビールとオニギリほかの”俺の山飯”を仕入れた。

 県境の長いトンネルを抜けて8時前に目的地に着くと、雲が低く垂れ込めていた。
 西の原の駐車場には、九州ナンバーのキャンピングカーが1台だけ、この天気だから仕方ない。

芝道を歩いて山に入る
 綺麗に刈り込まれた芝地のクロスカントリーのコースを横切って登山道に入った。
 早い時間なので、ランナーは未だいない。

ゴツゴツした石の道を進む


扇沢出合の分岐
 

 10分ほどで扇沢出合に着いた。
 
 ”マムシ注意、ハチ注意”の看板を横目に、男三瓶山へのルートを左折した。(”クマ注意”の看板は見当たりませんでした。)


ブナやナラの木が目立ってきた
 霧が漂う登山道も良いものだ。
 
 スギの人工林からブナやナラの自然林に変わると、空気の臭いも違ってきた。


木々が低くなってきた


西の原(登山口)を俯瞰する

 

 林の中の単調なジグザグを何度も繰り返すと、木々が低くなってきた。
 晴れていれば西側の景色が望める場所だ。

 歩き出して90分。道端に立つ桜の木の下で小休止した。

 一服を終える頃、西側の雲が切れて青空が顔を出した。
 西の原の駐車場、その先にある”浮布池”の緑色の水面が見えた。


子三瓶山が見えた


急なガレ場を登って行く
 青空が出てくるとワクワクしてくる。
 この気持ちは、万人共通だろう。

 雲が良い具合に切れて、山々の稜線が浮かんで見えた。
 そんな景色を求めて歩くのも山の醍醐味である。


 一転して、急なガレ場の登りになった。
 あの頂きの向こうに男三瓶山の頂があるはずだ。

男三瓶山の頂上へ向かう
 急なガレ場は10分ほどで終わり、登山道は草原の中を緩やかなカーブを描いていた。

 ”田代”という場所がある。
 湿地が広がる草原を”水田”に見立てた言葉だ。
 ここも”○○田代”と呼びたい場所だが、地図には何の表記もなかった。

 直ぐ先に小高い丘が見えてきた。
 山頂はあそこかな?


男三瓶山の頂上


三角点


展望盤


三瓶山頂神社


ベンチで”俺の山飯”を食う
  草原から見えた小高い丘が男三瓶山の頂上だった。
 山頂は大勢の人々が寛げる十分な広さがあった。

 しかし、誰も居ない。
 ここまで全くの一人旅だ。生あるものと言えば、登山道を横切る蛇が二匹、スズメに似た1羽の小鳥だけだった。



 三瓶山は古い火山群の総称で、中央の窪みを”室内”と呼ぶ。”室内”には火口湖があり、その周りを6つのピークが取り囲んでいる。
 最高峰は男三瓶山で、時計回りに兜山、女三瓶山、太平山、孫三瓶山、子三瓶山が円形を成している。

 「そんな薀蓄はどうでも良いから、早く”三角点タッチ”をすれば・・・、」の声が聞こえそうなので、指導票が建つ場所へ行ってみた。



 三角点にタッチしてから西側のベンチへ移動し、いつもの山飯で腹を満した。

 山頂は相変わらず俺一人の独占場。霧が覆い景色は全く望めなかった。
 晴れていれば、日本海から隠岐の島々。東には伯耆大山、比婆山が見えると言う。



 時計を見た。
 どう考えても6つのピークの周回ルートは無理だ。
 地図を睨んで、子三瓶山を往復してから下山することに決めた。


扇沢の分岐に向かって一気に下る


扇沢への下りから子三瓶山を仰ぐ
 子三瓶山は、扇沢を隔てて1時間の距離にある。
 
 来た道を少し戻って、所々に張られたロープを伝って急な下りを降りて行った。

 二人の若者が登ってきた。
 今日、初めての出逢う山仲間である。



 雲が切れて、子三瓶山が見えた。
 はぁーー!。あの急登を登るの?

 

子三瓶山の頂上


男三瓶山を振り返る

  淡い太陽を浴びながら、急登を30分ほど我慢すると、草が覆う子三瓶山のピークに着いた。

 振り返ると、男三瓶山は雲の中だった。

 


東側の景色


扇沢のベンチ
 扇沢へ下る途中から東側を眺めたが、お目当ての伯耆大山や比婆山は雲に隠れていた。


 扇沢まで戻って一休みした。
 登山口までは、杉林の中を延々と下るだけである。

スギ林を下る


出合の案内板まで戻ってきた
 緩やかな杉林の中を下って行くと、大きな青大将(蛇)が登山道を塞いでいた。
 動きそうもないので、スギの枝で突っつくと草の中へゆっくりと消えて行った。

 今日で3匹目の蛇との出会いだ。
 一匹目が中型の青大将、2匹目が小型のヤマカカシ、3匹目が特大の青大将だ。

 マムシでなくてホッとしたが、1回の山行で3匹の蛇と出会うとは、蛇に余程好かれているらしい。


 出雲神話では、蛇は悪者扱いにされている。
 ヤマタノオロチは八頭の怪物だし、邪悪な蛇を退治した神様の話は数多い。
 一方で”蛇は神様の遣い”とも言われ、蛇を祭神としている神社も全国各地にある。

 俺の前に現れた蛇は、悪者か?神の遣いか?、どちらだろう。
 ここまで無事に歩いて来れたので「神の遣い」に違いない。


駐車場まで戻ってきた


下山後に顔を出した男三瓶山(左)と子三瓶山(右)
 駐車場まで戻ってくると、天気は好転して雲間から太陽が顔を出した。

 芝生の上では、多くの家族連れが遊んでいた。
 駐車場前の広場では、お揃いのユニホーム姿の子供たちがバーベキューを楽しんでいた。

 出雲の三瓶山、楽しい山歩きだった。
 今日も一日、ありがとう!