二王子岳

・期間 2014年5月4日(日)
・山域 新潟県
・形態 単独・ピストン
・行程 二王子神社→一王子→油こぼし→二王子岳→油こぼし→一王子→二王子神社

※ 新潟シリーズの二つ目の山は、二王子岳だ。残雪を踏んで頂上に立った。

5/4(日) 晴れ
二王子神社(7:15)→一王子避難小屋(8:15-8:30)→油こぼし(9:5510:10)→二王子岳山頂(11:15-12:00)→一王子避難小屋(13:3013:45)→二王子神社(14:30)


二王子岳は、農耕の神様として昔から下越地方の里人に仰ぎ親しまれて来た山である。
一方、登山志向者には、飯豊連峰の素晴らしい景色が堪能できる眺望の山として人気が高い。
下越平野から眺めた二王子岳は、青空に綺麗な山容をゆったりと広げていた。



二王子神社の臨時駐車場


臨時駐車場の混雑具合

北陸自動車道の黒埼SAで朝を迎えた。
 最近の俺は、高速道路のSA又は道の駅を定宿としている。

 聖籠新発田ICから新発田市内を通って登山口である二王子神社に到着した。
 ガイドブックには、神社の境内に駐車スペースがあると書いていったが、神社側は既に満車なのか?黄色い幟の立った臨時駐車場は既に8割が埋まっていた。
 俺もその中に車を潜り込ませて、身支度を整えた。


※SAや道の駅は、宿泊施設でないことは十分に承知しています。決して悪いこと(花火、バーベキュー、宴会などのマナー違反)は致しませんので、「夜間の休憩?」ということで許して頂きたい。
 
中年の一人旅だし、費用を節約するには宿代をケチるしかないのです。

※二王子神社へのアプローチは、二王子温泉病院から先が狭い林道なので、通行時は十分に注意して下さい。


二王子神社

先ずは、神社に登山(登拝)の挨拶をしなければならない。
 “賽銭奉納の儀式”のために、小銭入れを覗くと10円玉と100円玉が数枚だった。えーい!ここは奮発して、女房の分と合わせて200円を奉納。鈴を鳴らし、柏手を打ち、頭を垂れた。

 それにしても立派な社殿だなー。
 人里離れたこんな山奥に佇むこの神社は、戴そうな社格を持っているんだろうなー!

※二王子神社の境内にも10台程が駐車可能。トイレも水場もあり、社殿前の広場にはテントも張れる。


登山口

ここからが登山の始まりである。
 登山名簿に記入して、沢筋に沿って杉林の中を緩やかに登って行った。


一合目
 

綺麗な水が滔々と流れる沢を右手に見送ると、尾根筋の登山道に変わり、傾斜も厳しくなってきた。


大岩を巻いて高度を上げて行く

前を行く単独者のザックに括り付けられたクマ避けの鈴が、♪リーン♪リーンと規則正しく鳴り響いている。

 彼に追い付いた。
 「傾斜が急で、休ませてくれませんねー!」と俺。
 『もう少しでこの傾斜も終わりで、直ぐ先に一王子の休憩所あります。一服するには丁度良い場所ですよ。』と教えてくれた。

 「ありがとうございます。そこまで我慢します。」と返して、階段状の道を登って行った。


一王子の雪原で休憩


一王子避難小屋

前方に真っ白な斜面が見え、先行者が残雪の上に腰を下ろしていた。
 ここが一王子の休憩所かー。
 左手は大きな杉が林立し、冬囲いをした避難小屋がひっそりと建っていた。雪面を照らす陽光が眩しい。

 周りの客はアイゼンを付けたり、サングラスを掛けたりと、残雪と紫外線対策に勤しんでいた。
 「あぁー!サングラスを忘れた。あぁー!日焼け止めクリームも忘れた。」今更、車まで戻る訳にはいかない。「えぇーい!雪目になろうが、真っ赤に日焼けしようが、どうにでもなれ。」

 俺のザックには、ワカンが縛り付けてある。先客のザックにはそれらしき道具は見当たらない。
 「皆さん!ワカンを持たずに、グズグズの腐れ雪に難儀して下さいね。俺は大丈夫だもんねー。」


芽吹き前のブナ

ワカンはそのままに軽アイゼンを装着して、ダブルストックを突いて残雪の上を歩き出した。

 悔しいことに、雪はキックステップに丁度良い硬さで、どうやらワカンの出番は無さそうだ。

 先行者のトレースを追って陽光輝く斜面を登って行くと、樹木の幹回りだけがスッポリと雪解けしていた。
 天気は良いし、春山特有の景色にも出会えるし、これだから山は辞められない。


先行者を追って登って行く

“油こぼし”の急斜面には、シリセードの痕跡が何本も残っていた。

 「シリセードかー!何年もやってないなー。俺も帰りに試してみようかな。」
 


御神楽山が見える


振り向くと下越平野と日本海

“油こぼし”を登り切ると視界が一気に開けた。

 南側には御神楽山が大きく聳え、背後には下越平野の田園が広がり日本海が霞んで見えた。

 空気が澄んでいれば、粟島や佐渡島が見えるはずだが、この時期の霞んだ空気が恨めしく思えた。


先行者を追って雪原の中をひたすら登る

背の高い木々も無くなり、本格的な雪山のような景色になってきた。

 雪は相変わらずシッカリとしており、靴底が力強く雪面を噛んでいる。“快適々々”と連呼しながら、快調に歩を進めて行った。

※目標がないので、ガスが出てきたら迷ってしまいそうな雪原が続いた。
 赤旗も所々に挿してあるが、地図とコンパスは必携だ。

 


頂上と避難小屋が見えた


お花畑から眺めた御神楽山

“お花畑”と呼ばれる場所まで登って来ると、二王子岳のピークと真っ赤な避難小屋が見えてきた。

 お花畑と呼ばれるくらいだから、雪解け後には様々な高山植物が咲き誇るんだろうが、今は雪の下で静かにその時を待っているに違いない。

 ここからの景色も素晴らしい。
 雪原の向こうに御神楽山が目線の高さに浮かんで見えた。


頂上までもう直ぐだ


飯豊連峰が目線一杯に広がった


二王子の奥ノ院?

9合目の急斜面を登り、西側に回り込むと前方に平らな頂上と真っ赤なカマボコ型の避難小屋が見えた。

 東側に目を向けると飯豊連峰が真っ白の雪を纏い、背後を振り返ると稜線上の小ピークが雪のドームと化していた。

 直ぐ先に、二王子神社の奥ノ院?らしい石垣があったので、丁寧にお参りしてから頂上へ向けて歩き出した。


頂上の避難小屋


頂上だー


飯豊連峰(右の白い山が大日岳)



頂上に到着した。
 植生の違いなのか?それとも日当たりの具合なのか?この付近だけが灌木が茂り、乾いた土が露出していた。

 鳥居型の山名標?には、「青春の鐘」が吊るされていた。ここに居る大多数は、壮年及び若老年なのに、“青春”の文字が皮肉っぽく映っていた。

 それにしても絶景である。
 正面には、エブリ差山から東へ伸びる飯豊連峰の峰々が白く光っていた。

 10年前に飯豊連峰を縦走した時の記憶が蘇ってきた。「あそこが“足の松尾根”で、あの稜線を辿って“大日岳”へ、その先が“飯豊本山”、“切合”の避難小屋に泊まり“飯豊鉱泉”まで歩いたよなー。」
北側の遠くに朝日連峰も薄っすら見え、

 9年前に朝日連峰を縦走した時の記憶が蘇ってきた。「あそこを登った時は、猛烈な暑さだったなー。“竜門岳”からの下りがバテバテだったなー。」


記念写真

 昼飯を食べ終え、もう一度、飯豊連峰の景色をゆっくりと楽しんだ。

 或るグループは、シートを広げて小宴会の真っ最中だ。また、違うグループは、次に登る山の相談をしている。

 
この景色、いつまでも眺めていたいが、騒々しいグループの傍では楽しみも半減してしまう。

 ザックを背負い、彼らに冷眼ビームを照射してから頂上を後にした。


頂上を後にする。まるで雪山だ

下りは快適である。雪の柔らかさが膝への衝撃を和らげてくれ、膝泣きに苦しめられることは無さそうだ。

 前を行く下山者と残雪・・・。こう見ると、完全に雪山風景である。


雪庇と日本海

帰りは余裕だった。
 所々で写真を撮りながら、ゆっくりと下って行った。


現在の積雪は1.5m


一王子の手前の雪原

一王子まで下ってきて小休止した。
 一服していると、4人組の精鋭部隊が降りてきた。大型のザックにヘルメットとブルーシートを括り付け、リーダーと思しき人のザックにはミニチュアの“鯉のぼり”が刺さっていた。
 
 そうだよなー。明日は、“こどもの日”だもんねー。
 リーダーが、携帯電話で二王子神社への迎車を頼んでいた。
 この装備から察すると、胎内側からテント泊で縦走して来たんだろうが、羨ましいなー!俺も若いときは・・・なんて、懐かしんでも今はどうにもならない。


杉林の中を下って行く

荒い息遣いの彼らに声を掛ける勇気もなく、俺は軽アイゼンを外してから、杉林の中を一人で下って行った。

 沢音が聞こえてきた。この山の終わだ


下山後に仰いだ二王子岳
 里まで降りてくると、二王子岳が田植え前の田んぼの向こうにゆったりと横たわっていた。