苗場山
・期間 2007年10月8日(月)
・山域 南越後(信越国境)
・形態 単独・ピストン
・行程 第2リフト駐車場→和田小屋→神楽峰→苗場山→神楽峰→和田小屋→第2リフト駐車場
※ 平標山と仙ノ倉山の周回を終えてから、かぐらスキー場へ移動して車中泊、次の日に雨の苗場山を一人で黙々と歩いた。
昨日は平標山と仙ノ倉山を歩いて麓の
温泉に浸かり、ビールを我慢して遅い昼飯を食った。次いでと言っては申し訳ないが、信越国境の名山である苗場山を平標山・仙ノ倉山とセットで登ろうと考えていた。
風呂の後に、越後湯沢の街まで買出しに出掛けた。愛車にガソリンを補給、そして俺の腹を満たすもの、そー「ビール+焼き鳥+お新香+きのこ弁当」をコンビニで仕入れて、林道を30分ほど走って「かぐらスキー場」の第2駐車場で車を停めた。
明日は雨模様、テントを張らずに車中泊を決めた。日没前の誰も居ない駐車場、愛車の脇に銀マットを敷いて一人宴会を催した。山で飲む酒ほど旨いものはない。
10/8(日)雨
第2リフト駐車場(6:10)→和田小屋(6:30)→神楽峰(9:00-9:10)→苗場山(10:50-12:00)→神楽峰(12:40-12:50)→和田小屋(14:30-14:40)→かぐら第2リフト駐車場(15:00)
夜中に大失態を演じてしまった。車中泊は俺の他に2台、それぞれが駐車場の隅みっこに車を停めて熟睡している。
昨夜は”キリン一番絞り”のロング缶2本とホットウィスキーを3杯も飲んでしまったので、夜中の2時に尿意をもようして目を覚ました。車のロックを指で解除すると、行き成りクラクションが鳴り響き、ヘッドライトが点滅した。静かな闇夜をぶち壊してしまったのである。あーぁー、「盗難防止アラーム」が作動したのである。大急ぎでエンジンキーを差し込んで、クラクションの大音響とライトの点滅を停めた。他の2台の車内灯が点いて、「何だ!何だ!」の気配を放出していた。車外に出て謝ろうかとも考えたが、他の2台のドアをわざわざノックするのも罰が悪いし、必死で尿意を我慢して車の中に留まった。(10分後、静かに事を達した。)
目を覚ますと、雨が降っていた。天気予報は今日一日の雨を告げ
ていた。車の中で山支度を整え、外に出た。シトシト降る雨を突いて、雨の日モードの完全装備で誰も居ないスキー場のゲレンデを歩き出した。
このコース、暫くはスキー場のゲレンデ沿いの道を登って神楽峰の手前から本格的な山道になる。
和田小屋が見えて来た。ここで泊まる手もあったが、連休での混雑は御免である。小屋の前を過ぎて登山道に入った。雨で抜かるんだ泥道だが、しっとりと濡れた空気が胸に優しい。白樺の林を抜け
、ブナがちらほら見え出すと直ぐに”下の芝”に到着した。雨の中、休む場所もないので立ったまま湿ったタバコを吹かした。
道は沢筋から尾根筋に変わった。見事な紅葉が雨の中にぼんやりと浮んでいる。30Lのザックでもスカスカの荷物を背負い、神楽峰を目指して登って行った。
途中、霞んだ景色の中に”カッサ湖”が浮んでいた。苗場のホテル街も微かに見える。ここまで、擦れ違う登山者は僅かに3パーティ、昨日は頂上の小屋に泊まったのだろう。雨の日は本当に静かな山旅ができる。(雨も良いね!)
神楽峰に到着して一服した。何を置いても休憩にはタバコである。「一服」という言葉、タバコに由来しているようだが、タバコにまつわる慣用句が死語になってしまうのは寂しいものである。
登山道から一段登った所に
三角点があった。三角点は山ヤにとっては重要なアイテムである。帽子の翼で雨を避け、必死になってタバコに火を付けた。
登山道は神楽峰から一気に下っていた。正面に苗場山の大きくて丸くて赤く染まった峰が見えた。へー、此処からあんなに下ってから、また登り返すんだ。ざっと見て200mの高低差、山では良くあることだが、稼いだ高度を一気に吐き出すのは、何とも勿体ない気がした。
鞍部から一気の急登が続いていたが、30分ほどでり平坦な頂上平原に着いた。木道がツルツルで滑りやすい。足裏を一歩一歩慎重に置く動作を繰り返して、頂上の山小屋に着いた。
山頂の山小屋には「遊仙閣」の立派な看板が掲げてあった。山小屋にしては随分と格式ばった屋号に笑って
しまった。
小屋の裏が苗場山の頂上だった。「あぁー、この山も完全に、この小屋に支配されてしまっている。」と思った。百名山の最高峰=三角点が小屋から5mの距離にある。まー、良いか?、これが現実なんだから諦めるしかない。
小屋の窓を叩いて、ビールを所望した。雨は強くなったが、ビールでも飲みながら小屋で昼飯でも食おうと考えて玄関に回ると、入口には『トイレは隣の”ビジターセンター”でお願いします。」と大きな張り紙があった。何んてことだ。トイレまで拒むこの小屋の魂胆、ビールを買って失敗したと思った
。
仕方なくビール片手に100m先の”ビジターセンター”へ移動した。玄関を開けるとストーブが炊かれていて暖かい。雨でぐっしょりと濡れた雨具とザックをストーブにかざして、休憩をお願いした。
休憩室では乾いたジュータンが迎えてくれた。先客が5人、テレビを見ながら寛いでいた。カップラーメンを作るため、小屋の主人に「玄関の土間でバーナーを使わせて頂けませんか?」と
お願いすると、休憩室のテーブルを使って良いと言う。あー、うれしいね。こう言う気遣いが嬉しいなー。先っきの小屋とは大違いである。
ビールを飲み、カップラーメン+アンパン+チョコパンの昼飯を食った。
食後の一服を終えて、小屋の主人にキッチリとしたお礼を述べて、生乾きの雨具を着込んで休憩室を出た。
雨は降り止まず、折角の紅葉が白く霞んでいた。此処まで歩いてきた実績だけが残った。雨も良いよね!、これが今の百名山の現実である。雨も、○○って名前の有名小屋も、山の頂点に飾り付けられた指導標も、全てが現実である。
そーだね、山を登るからには、そんな実状を見なくては”今”は語れない。「苗場山」は確かに良い山である。されど・・・、俺にも良く分からない。
さー、戻ろう。草紅葉が雨に濡れている。滑って転ばぬように、雨に濡れる木道を慎重に歩き出した。
![]() 和田小屋前の登山口 |
![]() 苗場山ビジターセンターでの昼飯 |