茂来山


・期間 2014年8月16日(土)
・山域 長野県
・形態 単独・ピストン
・行程 霧久保沢登山口→コブ太郎→茂木山山頂→コブ太郎→霧久保沢登山口

※ 曇天の空のもと、蒸し暑さに耐えながら信州佐久の名山「茂来山(もらいさん)」に登った。


 霧久保沢登山口(9:30)→コブ太郎(10:10-10:25)→槇沢コース合流点(11:20)→茂来山山頂(11:30-11:55)→コブ太郎(12:35-12:45)→霧久保沢登山口(13:15)

今週から来週に掛けては、日本列島に寒冷前線が居座り、
全国的に不安定な天候が続くらしい。
山好きにとっては憎たらしい悪玉前線だが、折角の休日を逃すのは勿体ない。

当初予定していた越後の山の降雨確率は80%だと言う。
何とも悩ましいところだが、1泊2日で行動できる山域の降水確率を調べたところ、
信州佐久方面が50%の確率。先ずは、第一段として“茂来山”へ向かった。

霧久保沢登山口


案内板
 国道299号線を十石峠方面へ車を走らせると、灰色の雲が一面を覆い、いつ雨が落ちてきてもおかしく無い空模様だった。

“茂来山登山口”と書かれた看板を右折して林道を暫く走ると、狭い凸凹の砂利道に変わり、路面の至る所に木枝が落ちていた。

 それらの木枝は先行車に踏まれた痕跡もなく、この時点で俺が今日の一番着だと確信する。

 幸いにも我が愛車は4WDのSUVだ。凸凹や木枝を物ともせずに力強く走ってくれた。


※林道は、途中から狭隘で悪路。
 霧久保沢の駐車場は、20〜30台が駐車可能。
 水、トイレなし。
 案内板の右側のボックスに登山パンフレットあり。


立派なパンフレット

霧久保沢の駐車場に到着した。
 案の定、先客は無く俺が一番着だった。

 今日は土曜日。しかも、時計は9時を廻っているのに、他に車が無いということは、俺以外にこの山に登る人は居ないのか?
 「そうだよなー。佐久の名山と言えども、全国的にはマイナーだし、地元の人はこんな天気じゃー山に入らないよなー。」


 寂しい気分で身支度を整え、“鈴+ポケットラジオ⇒クマ避け対策”をしっかり施してから、ゲートを潜った。


登山口
 歩き出してしまえば、靄々した不安は何処かへ消えてしまう。

 砂利の敷かれた林道を10分程ほど歩くと、登山口と書かれた看板があった。

沢を渡る(その1)


沢を渡る(その2)
 

杉の木が綺麗に並んだ沢筋を登って行くと、澄んだ沢水が滔々と音を発てて流れていた。


ナラやブナの自然林の中を進む

周りの樹相がナラやブナに変わると、登山道の傾斜もきつくなってきた。

  強い日差しもなく、紫外線ビームに曝されることはないが、湿った空気が纏わり着いて蒸し暑い。


森の巨人/コブ太郎


枝ぶりを拝見

前方に看板らしき人工物が出てきて、右手に大木の影が見えてきた。
 きっと“森の巨人/コブ太郎”に違いない。看板を右手に折れると、名物の“コブ太郎”が静かに佇んでいた。

 濡れたベンチに腰を降ろして一服しよう!

 それにしても静かである。こんな静かな山は、久しぶりだ。人の声はおろか、鳥の囀り、枝葉が風に揺れる音さえも聞こえない。

“コブ太郎”とはトチの巨木で、ゴツゴツした樹容からその名前が付いたんだろうが、“森の巨人”なんて大げさな形容詞を冠した割には、「へー、こんなものなの?」って感じに見えた。
(確かに周りの木々とは一線を画しているが、俺としては圧倒的な姿を想像していたので、何となくがっかりしてしまった。)


 まー、俺みたいな余そ者がとやかく言う資格はないが、“巨木には精霊が宿る”なんて言われていることだし、君に逢いたくて此処まで来たんだから俺にも“精なる力”を分け与えて下さいね。


沢の上部

“コブ太郎”を拝んでから、登山道まで戻って沢を詰めて行った。

 沢も上段まで登ってくると、シダの緑が鮮やかになり、傾斜もきつくなってきた。

 経験上、沢を上り詰めると尾根に出る訳だが(当たり前だよ!)、右手の木々の間からそれらしい尾根筋が見えてきた。


槇沢コーストの合流点


明るい尾根
 急な斜面を右側にトラバースすると尾根に出た。丁度、槇沢コースとの合流点だ。

 沢の景色も良いが、尾根は明るくて気持ちが良い。
 沢と尾根、谷と頂。どちらも山の個性を引き出す重要な要素である。
 谷が深ければ頂は屹立し、沢が緩ければ尾根も穏やかである。(当たり前だよ!)


 俺は、富士山型の山には興味が湧かない。
 その理由は、”沢、尾根、谷、頂”が織り成す複雑な山容や樹相の変化など、日本の山が持つ素晴らしさが味わえないからである。
(貴方の思いを語っている場合じゃないよ!そんなことはどうでも良いから、早く先へ進みなさい。頂上はもう直ぐだよ。)
 

頂上は直ぐ先だ
 合流点から10分ほど進むと、チョットした岩場の向こうに空が開けた。
 きっと頂上だろう。



山頂の祠(中央)と皇太子殿下の記念碑(左)


東側の様子


三角点

岩場を登りきると、1718mの茂木山の頂上に着いた。
 岩の上にザックを置いて、祠に拝礼を済ませ、浩宮皇太子殿下の登頂記念碑を写真に収めた。

 天気が良ければ、八ヶ岳や北アルプスなどの眺望が得られるはずだが、ご自慢の景色は雲に隠れていた。

 頂上は俺一人の独占である。風もなく、音もない。三角点にビールとおにぎりを置いて記念写真を撮った。

 ビールを片手にタバコを吹かす。空には、綺麗な蝶が舞っていた。


一段下った所にある署名箱

ラジオでは高校野球を放送していた。丁度、我が千葉県代表が戦っているところだ。時々、“ザッザッ”と小刻みな雑音が混入してくる。
 「あぁー!ひょっとして雷?。雷注意報が出てるんだから、きっとそうだよなー!」

 そうなれば、長居は無用である。ラーメンは諦めて、おにぎりだけを腹に収めた。

 パンフレットには、一段下がった場所に“登頂署名箱”があると書いてある。
 反対側の広場に降りて、地元有志が設置した箱を開けるとノートが収めてあった。
 俺もページを捲って住所、氏名を記入した。

※20m×20m程の草の広場で、焚火の跡があった。
 テント泊に丁度良い


雲が降りてきた


もう一つの巨木/大王トチの木

頂上を後にした。

 登って来た道をそのまま引き返すのは面白くないが、周回路が無いので仕方ない。
 槇沢コースを見送って、樹林の中に入ると雲が降りてきた。天気悪化の兆しである。


沢を下って行く

“コブ太郎”で一服して、煎餅を齧った。

 空模様が怪しいので、急ぎ足で下って行くと、50mほど先の立木が、突然、大きな音を発てて登山道に倒れた。
 
 風も無いのに、なぜだろう。クマの仕業かなー?

 気味が悪いので大声で「わぉー!」と叫んで、俺の存在を誇示した。


車に戻ると豪雨になった

駐車場に戻ってきた。

 今日の山も無事に終了。天気は今一だったが、静かな山歩きが出来たことに感謝しよう。

 靴を履き変え、汗まみれの服を着替えて車に乗り込んだ途端に、雷鳴と伴に大粒の雨が落ちてきた。
 絶妙のタイミングに、思わず自笑してしまった。

 さー、風呂とビールが待っている。
 ナビの目的地を“浅科温泉”にセットして、アクセルを踏んだ。

途中からデジカメの調子が不安定になったので、スマホで撮影(横長の写真)した。
このカメラもそろそろ買い替え時かな?