金峰山

・期間  2003年12月29日(日)
・山域  金峰山(奥秩父)
・形態  単独・日帰り ピストン
・行程  廻目平→林道終点→金峰山小屋→金峰山山頂→金峰山小屋→林道終点→廻目平

※ 年末年始の9連休、一度は山に行きなさい!!という脅迫感に襲われた。そこまで云うんだったら、手近な雪山へ、小屋も開いている場所で適当なところは?・・・って考えると金峰山があった。無理すれば日帰り可能、下手しても1泊で十分だ。年末の後始末を先に送って、金峰山へ一人で向かった。

12/29(日) 晴
 自宅(3:30)→廻目平(8:00-8:30)→林道終点(9:40-9:50)→尾根中間点(10:50-11:00)→金峰山小屋(12:10-12:20)→金峰山山頂(12:40-13:00)→金峰山小屋(13:15-14:00)→林道終点(15:10)→廻目平(16:00-16:30)→自宅(21:00)
 前回の武尊山と同じ清里高原からの八ヶ岳3時に起床して自宅を出発、前回と同じく暗闇の中を車を走らせた。前回と違うのは小屋泊の準備とアイゼンなどの冬道具、それらを前回と同じザックに詰め込み、前回と同じガラガラの首都高速を抜けて、前回と違う中央高速を飛ばした。
 前回の武尊山の時もそうだったが、最近は登山口までの道路選定はナビ任せで、通過する町やルートの確認を怠っている。地図を見ないなんて山では以ての外だが、ここは平地である。道具が便利になるのは良いが、そう言えば、ここ何年も2桁以上の四則計算を自分の頭で解いたことがない。いつも電卓任せである。便利になった分、能力が退化してしまいそうで正直怖い。
 そんなことを考えながら、ナビの案内どおりに車を走らせていると、進行方向の左手=地図的には西側に、朝日を浴びた八ヶ岳が飛び込んできた。紺碧の空に白いスカイライン、車を降りて写真に収めた。(写真:←)
 
国道から県道に入り、川上村の中心街を抜けて、秋山の集落から廻目平へ向かう途中から雪道になった。今シーズン初の雪道走行、タイヤは快調に雪を噛んで林道を登っていった。
 8時00分、廻目平の駐車場に車をデポした。積雪は10cm、気温は−8度、朝のキリリとした澄んだ空気の中をゆっくりペースで車の轍を追って歩き出すと、程なくして車止めのゲートに差し掛かるが、その先にも轍が続いている。何処にもルール違反をするバカな奴は居るんだ!!、なんて考えながら歩いていると、下からRV車が勢い良く登ってくる。奴等だ!、まったくモー。
 林道の終点に到着した。先っきのRV車の脇で二人の青年が身支度を整えていた。不心得者に一喝と思ったが、良く見ると背負子に括られたダンボールから長ネギの束が覗いている。納得々々、金峰山小屋のお沢に積もったホワイトクリーム兄ちゃん達だ。「歩荷ですか?大変ですねー。」って声を掛けて、彼等より一足先に登山道へ入っていった。
 雪山を計画するとき、夏時間の1.5倍を目安にするが、道にはしっかりとしたトレースがあり、踏跡が不規則な凸凹を隠しているので、夏より反って歩き易い。真っ白い雪がホワイトクリームを流したように登山道脇の沢を覆っていた。(写真:→)
 暫く沢沿いを登ってから、尾根に取り付くと傾斜も急になってくる。登山道は、間隔の詰まった等高線を直角に横切っている。間違いない、もう直くで尾根の中間点、きっと休憩に良い場所に到着する筈だ。我慢して足を一歩一歩進めていると、後ろから人の気配を感じた。振り返ると先っきの小屋番のお兄ちゃんである。重い荷物なのに結構なペースである。山慣れた人は、歩き方が違うんだってことで、先を譲った。
尾根中間点からの瑞牆山と八ヶ岳 休憩に持って来いの場所に到着してザックを降ろす。西側の視界が開けて、瑞牆山の向こうに八ヶ岳が輝いていた。(写真:←)
 
傍では小屋番の兄ちゃん達も休憩中だ。「小屋まで1時間ですよ。」って声を掛けられたので、『ビールをご馳走になりますから、準備しておいて・・・。』と返して、再び視界の無い樹林の中を登って行った。そうだ、瑞牆山とほぼ同じ高さってことは、此処の標高は2200m前後、小屋が約2500mだから残りの高低差が300m、普通の登り傾斜で1時間の行程、今の時刻は11時ってことは、良いペースじゃん・・・。なんて考えていると、又も小屋のお兄ちゃんに追い抜かれてしまった。
 傾斜が緩くなり平坦な道が暫く続くと、木々の間に”千代の吹上”から”五丈岩”の稜線が見え隠れして来た。傾斜が地図で示したように再び急になると、目の前に”ポッ”って感じで、見覚えのある金峰山小屋が現れた。
 小屋の前からは、今まで顔を見せなかった浅間山から谷川岳の山々が青白く光っている。風が強いので、小屋にお邪魔するとお兄ちゃんが熱いお茶をご馳走してくれた。『コーヒーを沸かす手間が省けました。有り難くご馳走になります。』
 ここから山頂往復で1時間、小屋での昼飯で45分、下りに2時間30分、日没は16時30分、今の時刻は12時10分・・・、予定どうりに日帰り強行軍とするか?贅沢して小屋泊しようか?と迷っていると、私と同年輩の単独行の男性が入ってきて宿泊の頂上からの富士山手続きをしている。勝負でもないのに、負けちゃーいられないという妙な気持ちになった。縦走なら兎も角、今回は山頂への往復、日が暮れてもライトはあるし、今まで歩いた道を車まで戻るだけだ・・・ってことで、日帰りを前提に同年輩の単独行を追って山頂へと歩き出した。見覚えのある、いや3年前の春に歩いた山頂までの道、一気の登りだが空身なので楽々である。あの時は重荷で、しかも雪が多く滑らないように気を使ったが、今年は岩に薄っすらと雪が載っているだけ、改めて今年の暖冬を実感した。
 頂上に到着すると南側の視界が開けた。富士山、南アルプスが間近に輝いている。遠く北アルプスの峰が白く霞んでいる。金峰山のシンボルである五丈岩が逆光に黒く鎮座し、赤い鳥居が五丈岩寒そうに孤立している。
(写真:←↓)
 ゆっくり展望を楽しみたいが、南から吹上げる風が頬に冷たい。もう一度、北側の写真を撮ってから下山しようと目を向けると、小川山の真上にクラゲのような形をした不気味な笠雲が現れた。(写真:↓)
 頂上には先に着いた同年輩の男性と二人きり、「笠雲ですね。」と彼が独り言を云った。『天気が崩れるんだろうなー。』と私が云う。お互いに独り言とは思ってもいない。話をする切っ掛けのようなものである。『千葉から日帰りの予定なんですが、どちらからですか?』と私、「私も千葉からです。昨日は佐久に泊まって、明日帰ります。」と彼、話を聞くと費用を浮かすため高速バスで佐久まで入って、安宿に一泊してから朝一番のバスで廻目平から登ってきたとのこと。小川山に掛かる笠雲交通が便利な八ヶ岳とは、雲泥の差である。『私の車で千葉まで・・・』の言葉が喉まで出掛かったが押し止めた。一人で来た意味が無い。
 風は相変わらず強く吹き上げてくる。気温は−15度、八ヶ岳の稜線に暗雲が掛かり始めた。さー、小屋に戻ろう。
 小屋のドアを開けて声を掛けると、お兄ちゃんがビールと甘納豆を差し出してくれた。本当はゴクゴク一気の方がビールは美味い。甘納豆とチョコレートとジャーキーを摘みに、350mlの缶ビールをチビリチビリとやった。3年前、奥秩父主脈縦走の初日に、この小屋にお世話になったこと。小屋の若女将をアルバイトのお姉ちゃんと間違えたこと。腐れ雪に足を取られて甲武信岳の手前で力尽きたことなどを小屋のお兄ちゃんに話すと、アルバイト君だと思っていた彼は小屋の主だと言う。又も失礼をコイテしまった。
 車まで2時間30分と読んで荷物を纏めて小屋を後にした。3年前とは違い、離れの冬季小屋が新しくなっている。トイレも綺麗だ。若い夫婦でこの小屋をキッチリと守っているんだなー・・・って感心した。予想したとおり天気は下り気味、鉛色の雲が空を覆ってきた。日帰りで正解、帰宅が何時になっても一向に構わない。家では冷たいビールと暖かい布団が待っている。予定より早く駐車場に到着してザックを置いた。愛車のエンジンを始動、ナビで近くの温泉を検索して目的地に設定した。情けないことに温泉探しも帰りの道案内もナビにお任せである。


                              
※写真をクリックすると拡大します。

八ヶ岳 小川山の向こうに浅間山 国師岳と奥千丈岳、左遠くに甲武信岳