烏場山(花嫁街道)

・期間  2007年12月31日(月)
・山域  南房総
・形態  単独・周回
・行程  町営駐車場→花嫁街道入口→経文石→見晴台→烏場山→旧見晴台→黒滝→町営駐車場

※ 南房総にある我が生家まで車を飛ばせば2時間の距離なので、途中で寄り道をすることにした。2007年大晦日、南房総の人気スポットを一人静かに歩いた。

12/31(月)晴れ
 駐車場(11:30)→花嫁街道入口(12:00)→第一展望台(12:15)→経文石(12:30-12:50)→見晴台(13:10-13:20)→烏場山(13:30)→旧見晴台(14:10-14:20)→黒滝(14:40-14:50)→駐車場(15:40)

 南房総市和田町は我が生まれ故郷の隣町で、今も近海捕鯨の基地として健在である。
しかも、気候が穏やかで冬でも暖かく、畑では露地の花々が綺麗に咲き誇っている場所でもある。
 花嫁街道は、そんな暖かい海辺の村へ山村の娘が嫁入りするときに歩いた峠道として紹介されている。
小さなザックを背負い、海辺の村を基点に花嫁街道を登り、烏場山から花婿街道を下る周回路を歩いた。

花園地区の町営駐車場
 南房総市和田町の町営駐車場に着いたのは昼前であった。
 天気は良いが、海沿いなので風が強い。まー、山に入れば、この地特有の照葉樹の森が強風を遮ってくれるだろうと目論んで、Gパンにスニーカーという軽装で花嫁街道を目指す。
 (花園地区の駐車場は、直ぐ傍に民宿、レストラン、売店、GS、トイレなどがあり、ハイシーズンには多くの行楽客が集う観光スポットである。)

花嫁街道入口
 JR外房線の踏切を渡り、菜の花を眺めながら線路沿いを歩いていると、地元の人が挨拶をしてくれた。この辺り、花と海を眺めながら歩くハイカーが多いようだが、流石に今日は見かけない。
 谷津田に沿って続いている林道を最奥まで入って行くと車止めがあり、傍に「花嫁街道入口」の指標が立っていた。
 此処からが登山道である。

 

太平洋が見えた
 椎や楢の混じった道を登って行くと、背後に海が見えた。
 風は相変わらず強く、木々の先端が大きく揺れている。真っ青な海は白い波頭を立て、水平線には貨物船が風に負けじと進んでいる。
 子供の頃、何度も見た風景である。

マテバシイのトンネル
 第二展望台を過ぎると照葉樹の森に変わり、マテバシイのトンネルが現れた。
 このトンネル、真っ白な木肌が斜めに走り、巨大な動物の肋骨を内側から眺めたような錯覚に陥ってしまう。
 まるで、巨鯨に飲み込まれた少年のように、前へ前へと進んで行った。
 (天城山のアセビも見事だが、このマテバシイのトンネルも立派である。)

経文石
 椎の巨木が大きな石を包み込んでいる「経文石」に到着した。
 小さな祠とベンチがあり、小休止した。ザックの中からオニギリを出して食べ、煎餅を齧ってタバコに火を着けるという、いつもの休憩パターンで足を休めた。


見晴台からは太平洋が霞んで見えた
 経文石から烏場山へは、尾根伝いを馬蹄型に廻って行く。途中、「自害水」なんて恐ろしい名の水場を通り、「駒返し」で「五十蔵」の集落へと降りる道を折れて、太平洋が一望できる見晴台に到着した。
 この場所は、かつては五十蔵集落の茅場だったそうだが、今はで綺麗に整備され、桜の木が植わり、ベンチが設えてある。
 一服していると若い夫婦が烏場山の方向から降りて来た。今日始めて出逢うハイカーである。「こんにちわ」と挨拶すると、無視して一番端のベンチまで行って休憩体制に入った。
 怪しい親父に見えたのかなー?でも、挨拶くらい返してくれても良いのに、全く以って「コンチクチョウ」である。

 

五十蔵の集落と西側の山々
 見晴台を後に烏場山へ向かうと、直ぐに第三展望台に着いた。
 北側と西側の視界が開けて、北には千葉県最高峰の愛宕山(408m)、西には五十蔵集落の向こうに御殿山(363m)、富山(349m)、伊予ヶ岳(336m)、嵯峨山(315m)など、南房総の名だたる山々が青白い空に緑の山容を見せていた。

烏場山の頂上
 烏場山(267m)のテッペンに着いた。
 木々が疎らに視界を塞ぎ、四周丸見えとはいかない。それでも山標には「富士山」「三宅島」などの指導標があり、「へー!ここからそんなのが見えるの?」と疑ってしまう。
 三角点の傍に花嫁人形が安置されていた。花嫁街道に引っ掛けた演出に思わず笑ってしまった。
 でも、笑っていられない物がその脇に括り付けられていた。紀伊熊野の修験者が納めた”お札”である。「安房国烏場山、平成19年3月吉日、那智山青岸渡寺」と書かれている。
 この春、大峯奥駆を歩いた俺にとって、何だか因縁深いものを感じた。

幽玄な黒滝の姿
 烏場山から南に下る道には「花婿街道」という名前が付いている。各地の山に「男坂」「女坂」の性別に因んだ登山道が有るように、ここは「花嫁」に対して「花婿」が付いたようである。
 金毘羅山を一旦登り、ここから一気の下りで黒滝に着いた。薄暗い崖地に一筋の滝が落ちている。
 この滝の傍らに「向西坊」という江戸時代のお坊さんが入定したと言う洞窟があり、祠が祭られていた。
 何やら赤穂四十七士に関係する徳のあるお坊さんがここに入定したようなことが書いてあった。
 

花園地区を見下ろす
 黒滝から大塚山の縁を回って海の見える丘に立った。
 眼下の海が見事なまでに青く輝いている。
 一方で、オレンジ色の帽子を被った真白いリゾートマンションが何とも空疎に見える。
 (マンションの左脇が出発地点の駐車場)

南房総市和田町の花園海岸
 天気が良いので海岸まで足を伸ばした。
 風は相変わらず強く、カモメが風に負けじと翼を鋭角に広げて宙を舞っている。
 照葉樹の森、波の音、潮の香り・・・、故郷の自然に触れた大晦日であった。