硫黄岳
・期間 2002年 12月20日(金)〜21日(土)
・山域 硫黄岳(八ヶ岳)
・形態 小屋泊・単独 ピストンコース
・行程 美濃戸口→赤岳鉱泉→硫黄岳→赤岳鉱泉→美濃戸口
※ 雪を踏みたいなら冬の八ヶ岳、コレって私の定番です。
土曜日から天気が崩れそうなので金曜日に入って、せめて中山展望台からの絶景だけでもと思ったところ、予想的中で展望台からは素晴らしい景色だった。しかし、次の日は雪、天気が自由になったらなー。
12/20(金) 晴
自宅(5:30)→美濃戸口(10:00)→赤岳鉱泉(13:30-14:30)→中山展望台(15:10-15:30)→赤岳鉱泉(16:00)
いつもの様に自宅を車で出発する。天気の良い日を狙いたかったが休みの関係で仕方ない。明日から天気が崩れそうなので、初日にせめて中山展望台から横岳から赤岳の雪壁を眺めてみたい。
中央高速はいつもの渋滞で美濃戸の到着時間が気になる。急いでも仕方ない。先月買い換えたばかりの新車の運転に気を使いながら、最新ナビを駆使して登山口の美濃戸駐車場に車をデポした。
林道の積雪は10cm程度、久しぶりの雪歩きが楽しい。丁度1時間で美濃戸に到着して、小屋のベンチで昼食とする。天気は上々、ベンチから雪を被った阿弥陀岳が綺麗に見える。平日なんで人も疎ら、ホンとに気持ちがいい。
暫く林道を歩いて、北沢の流れに沿って赤岳鉱泉へ緩やかに登っていった。日陰は所々で氷結しているが、アイゼンがしっかり噛んでいるので何の心配もない。
赤岳鉱泉に着いて受付を済ませて、直ぐに中山展望台へ向かった。横岳の西壁が屏風のようにせり上がり、大同心・小同心の岩峰が白く光っていた。1時間程で展望台に到着、高曇りの空に赤岳と横岳が見事である。南に目を転ずれば、南アルプスが薄く白く流れていた。煙草を吹かし、贅沢な一人の時間を過ごした。下りはシリせードの練習にベストの斜面、都合3回の尻滑りで雪遊びを楽しんだ。
小屋に帰ると何人かの客が食堂で雑談していた。私もビール片手にストーブを囲む仲間に入れてもらった。
12/20(金) 晴
赤岳鉱泉(7:40)→赤岩の頭(9:30)→硫黄岳(10:10)→赤岳鉱泉(11:30-12:30)→美濃戸口(15:10)→自宅(22:00)
天気予報は昼過ぎから崩れるという。小屋を出ると小雪がチラつき、昨日見えた赤岳は雪雲に隠れていた。こうなったら、行けるトコまで行こう。小屋前から硫黄岳を目指して樹林の中を登って行った。途中、ジョウゴ沢の分岐を見送り、ジグザグに高度を上げていく。
歩き始めて1時間、赤岳と横岳の西壁が見える展望台で一服した。空は曇天の雪雲、阿弥陀岳がモノトーンで霞んで見えた。休憩後、また歩き出す。ジグザグを繰り返し計算どおりの時間で”赤岩の頭”に到着した。今日もここまで、たった一人の山歩き、雪は相変わらず降り続いている。頂上まで行くか?引き返すか?迷ったが、硫黄岳のケルンがハッキリ見えるので、急げば頂上までのピストンは可能と判断した。
降雪に埋もれかけた僅かな踏み跡を頼りに、慎重に歩き出した。ところが歩き出して10分、最初の岩場の通過で肝を冷やしてしまった。岩場の西側に踏み跡を見つけたので、てっきり左に廻り込んで斜面をトラバースするものと思って、アイゼンを利かせてピッケルを突きながら進んでいった。左下(西側)は傾斜35度の大斜面、滑ったら遥か下まで止まらない。そう、一歩間違えれば奈落の底だ。手足に緊張が走る。戻ろうかと考えたが、反転するとバランスを崩しそうで怖い。微かな踏み跡を頼りに、このまま進むことに決めた。たった30m程のトラバースだったが、何とか無事に通過することができた。
岩場のピークに立ってガッカリした。稜線伝いにトレースが残っていたのだ。何のことはない、岩を攀じれば、こんな危険はなかったのだ。その後、2ヶ所の岩場は鉄則どおりに稜線を登って、やっと硫黄岳の頂上に着いた。誰も居ない頂上、大きなケルンにザックを置いて一休みした。雪は相変わらず降り止まない。爆裂口が白い口を不気味に開いている。
天気が心配なので直ぐに下山にかかると、”赤岩の頭”で一人の登山者が私の下山姿を見つめていた。単独行の青年である。「山頂までどのくらいですか?」『30分もあれば行けますよ。』「この天気なんですが、行ける所まで行ってきます。危険な場所はありますか?」『最初の岩場は左側にトレースがありますが、私が間違えてトラバースしたルートです。稜線伝いにそのまま登って下さい。それ以外は私のトレースを辿れば、危険な場所はありません。』・・・、一端の先輩を気取ってアドバイスをしてあげた。彼はお礼を返して、誰も居ない山頂へ向けて歩いていった。
また独りになって、来た道をジグザグで下って行った。途中、何組かのパーティとすれ違う。雪が強くなってきた。先の青年のことが気になった。彼なら多分、大丈夫だろう・・・。
赤岳鉱泉へ昼前に戻り、自炊場で定番のラーメンを作って昼飯とした。食べ終えて、一服していると先の青年が下ってきた。「有難うご座いました。私、雪山は初心者なんで助かりました。何とか頂上まで往復できました。」と輝いた笑顔でお礼を言われた。『どういたしまして、私も初心者なんで、お互い様ですよ。』
今日は土曜日、美濃戸への下りで何十組ものパーティとすれ違いながら、林道の終点まで降りてきた。もう何の心配も要らない。
しかし、これからが大雪の始まりだった。雪は益々強くなり、ズブ濡れの犬のように何度も全身をブルブルさせて雪を払いのけた。美濃戸口の駐車場に戻ったら、愛車が雪に埋もれて雪ダルマ状態になている。掘り出すのに時間掛かってしまい、温泉なしで帰宅を決めた。
中央高速も降雪のため通常止めとなり、国道へ迂回した。最新ナビの威力は凄いと感心する。雪渋滞の道を避けて迂回路を教えてくれるし、最新の道路情報も表示してくれる。小淵沢ICから通行可能となり、渋滞の首都高を抜けて、ヘロヘロで自宅に戻った。
≪あとがき≫
天気の読みは正解だったが、ルートファインディングをしっかりしなくてはと痛感した。最初の岩場のトラバースで失敗したら確実に・・・今、思い出しても背筋が寒くなる。
Cドライブに残しておいた写真を無くしてしまったので、写真なしの日記になってしまった。理由?Windowsが立ち上がらなくなったので、再セットアップしたのです。バックアップを忘れた初歩的なミスです。(泣)