燧ケ岳

・期間  2012年8月20日(月)
・山域  福島県・桧枝岐村
・形態  単独・ピストン
・行程  御池→広沢田代→熊沢田代→燧ケ岳→熊沢田代→広沢田代→御池

※ 尾瀬と言えば、湿原・沼・滝、そしてその周りの山々が、それぞれの個性を競い合っている。尾瀬の名峰、燧ケ岳を御池から登った。

8/20(月)晴れ
 御池(5:50)→広沢田代(6:40-6:50)→熊沢田代(7:40-7:55)→俎ー(9:10-9:20)→柴安ー(9:30-10:20)→熊沢田代(11:20-11:30)→広沢田代(12:00-12:10)→御池(12:45)

 ”夏の思い出”、尾瀬。何度も訪れているが、燧ケ岳とは無縁だった。
いや、正確には無縁とは言えない。以前、尾瀬一周に挑戦した。
三平峠から入って尾瀬沼にテントを張り、長英新道を重いザックを背負って登って行ったことがある。。
その時は、途中で雷に襲われて逃げ帰ってきたが、思い出を辿れば、苦い夏の出来事であった。
福島応援団第三弾。そーだ、今度こそ燧ケ岳へ登ろう!

早朝の御池ロッジ

駐車場の奥が登山口
 今日もギラギラの太陽が、御池ロッジの向こう側から昇ってきた。
 駐車場の奥にあるゲートを通過して、木道を歩き出した。

ゴロ石の斜面を登る

白樺の大木
 尾瀬と言えば、平坦な木道歩きをイメージするが、木道は直ぐに終わって、大きな石がゴロゴロしている急斜面になった。
 途中、白樺の大木が朝陽を受けて、その成熟した真っ白い裸体の樹肌を悩ましげにさらけ出していた。(そう感じる俺って変態なのかなー?)

広沢田代の若いカップル

綺麗な池塘があった
 ゴロ石が重なる急斜面を30分ほど我慢して登って行くと、傾斜の緩い木道になった。時間から察して”広沢田代”の入口だろう。
 湿原の中央部にチョッとした休憩場所が設えてあり、若いカップルがザックを置いて休んでいた。
 湿原を渡る風もなく、日差しを避ける場所もないが、俺も少し休もう。

 軽く挨拶を交わして、腰を降ろした。
 狭い休憩地、二人の会話が聞きたくなくても聞こえてくる。手鏡を覗きながら彼女「目が一重になちゃって、こんな顔、誰にも見せられないー!」、「そんなこと無いよ。可愛いから許してあげる。」と彼。
 こんな所で「I love you!」は勘弁して欲しい。『下世話な噺は下界で、どうぞお好きなだけ・・・』と心の中で呟いた。

 この二人、ザックの大きさから縦走とみたが、こんな素晴らしい景色なんだから、山の話をすれば良いのにねー。と思いつつ二人を置いて先に出発した。

広沢田代が小さく見えた(正面奥は会津駒ヶ岳)
 前方の地形からして、あそこの山を越えたところに”熊沢田代”が広がっているはずだ。
 湿原を横断して、再び林に中を登って行った。今度もゴロ石と階段の急斜面、40分ほど我慢すると後方の視界が開けた。
 眼下に広沢田代の湿原が小さく見え、目線と同じ高さに”会津駒ヶ岳”が緑の稜線を大きく広げていた。
 素晴らしい天気に素晴らしい景色。「おーい!カップルさんよー。早くここまで登っておいでー!」

熊沢田代の入口

熊沢田代の休憩ベンチから見た燧ケ岳

池塘の向こうには平ケ岳が見えた
 木々の間をレールのように敷かれた木道。S字を描いて歩いて行くと、視界が開けた。
 目の前には”熊沢田代”の湿原が広がり、燧ケ岳が青空に向かって大きく背伸びをしていた。
 
 湿原の中間まで歩いてくると、二つの池塘がありベンチが備えてあった。誰も居ない平日の山。俺一人の湿原。山の気持ち良さにどっぷりと浸かった。

 ベンチに座ってタバコを吹かしていると、単独行の青年が追い付いてきた。
 「タバコ、消しますね!」と言うと、『いやいや、私もスモーカーなんで、一服させてもらいます。』・・・てな訳で、タバコ繋がりの山談義となった。
 聞けば、この青年は新潟県人で、普段は越後の山を歩き回っていると言うが、この燧ケ岳は初めてらしい。
 

熊沢田代を振り返る
 青年を残して山頂へ向かった。
 ここからが登りの本番。ザックのベルトを締め直した。
 木道が終わり、低木が目立ち始めてきた。ザレた沢を一気に登って高度を稼ぎ、赤茶けた露岩帯をトラバースすると、周りはハイマツに変わった。

俎ーの山頂

尾瀬沼

俎ーから見た柴安ー
 青空の面積が大きくなり、岩稜が見えてくると、そこが燧ケ岳の片方の頂上”俎ー”だった。
 眼下に尾瀬沼。田代から帝釈の山々、遠くには武尊、谷川の山並まで見通せる。
 あー、正に絶景である。

燧ケ岳と書かれた石柱

尾瀬ヶ原と至仏山

柴安ーから見た俎ー
 俎ーの祠に合掌して、もう一つの山頂、”柴安ー”へ向かった。
 急斜面を一気に下り、その分を一気に登り返すと、俎ーより10mほど高い燧ケ岳の最高点”柴安ー”の頂に立った。
 こっちの方が見晴らしが良い。この辺りで最も高い山の頂は、正に360度の大パノラマであった。

 頂上広場で大休止。この絶景を心行くまで堪能したい。
 眼下には尾瀬ヶ原が広がり、景鶴山と至仏山が目の前に見える。巻機山や越後駒ヶ岳など越後の山々が全べて見渡せる。北側には飯豊山、遥か彼方の三角錐は朝日岳なんだろうか?兎に角、絶景の一言である。
 ザックから大福餅とポカリスエットを取り出して、甘くて爽快な気分に浸った。


熊沢田代まで戻ってきた
 さー、戻る時間だ。
 ここから長英新道を尾瀬沼へ下って沼山峠まで歩いて、シャトルバスで御池まで戻るプランも頭に浮かんだが、時刻表を調べてくるのを忘れたので、そのまま登って来たルートを戻ることにした。

広沢田代の池塘
 広沢田代まで戻ってきた。
 雲が湧き出してきたが、頭上には太陽が燦燦と輝き、池塘に逆さ絵を映し出していた。

 尾瀬は、山も草原も池塘も全てが美しい。
 今回も”夏の思い出”に相応しい山旅であった。