八海山

・期間  2013年8月18日(日)
・山域  新潟県
・形態  単独・ピストン
・行程  山頂駅→女人堂→薬師岳→不動岳→薬師岳→女人堂→山頂駅

 最後の山は、八海山だ。疲れが溜まっているので、ロープウェイを使って山頂駅から歩き出した

8/18(日) 晴れ
 
ロープウェイ山頂駅(8:20)→女人堂(9:20-9:35)→薬師岳(10:30-10:35)→千本檜小屋(10:40-11:00)→地蔵岳(11:15-11:20)→不動岳(11:25-11:30)→千本檜小屋(11:40-12:15)→女人堂(13:00-13:15)→ロープウェイ山頂駅(14:00)


我が国では、チョッとした里山にも神仏が祭られているように、
全国各地には数え切れないほどの霊山が存在する。
八海山もその一つで、越後では最も名高い信仰の山である。
信仰や修験に無縁でも、山好きなら一度は登りたい山である。



八海山ロープウェイ山麓駅

二日間の疲れが抜けず、左膝の調子が今一だ。
 火曜日まで休暇を取ったし、そのまま帰ってしまっては悔いが残るような気がした。

 昨日の計画では、新開道から直登しようと考えていたが、この暑さと今朝の体調では、ロープウェイを使った方が無難かもしれない。
 
 朝一番のロープウェイに乗り、八海山スキー場の頂上駅に降り立った。


八海山大神の石像

登山口

ロープウェイを降りて階段を昇り切ると、八海山大神が出迎えてくれた。

 大神は俺を睨んで「これから信仰の山に足を踏み入れるんだから、よくよく信心するように!」って語っているように見えた。
 
 大神に畏敬を感じた俺は、その指示に従って、先ずは安全登山を祈願し、次に信仰心を忘れないことを誓い、最後に脱帽・合掌して登山道を歩き出した。


八海山が見えた(太陽が眩しい)

登山道を10分ほど登って行くと、東側が開けた場所に出た。
 正面には、元気な太陽と八海山の頂きが眩しく光っていた。


シダの道


ブナの道

シダや笹が覆う道を抜けて、小さなアップダウンを終えると大きなブナの木が立っていた。

 俺の生まれ育った故郷の里山は、海沿いで温暖な気候のためか、シイやクスの照葉樹ばかりで季節の変化が見えない山であった。
 その点、ブナに代表される落葉樹は、四季折々で違う顔を見せ、山の風景を変えてくれる。
 ブナは大好きな木だ。


女人堂で一休み

堂内の様子

八海山を仰ぐ(右奥が本峰)

ブナの林から一旦下り、急な登りになった。所々に鎖や梯子が掛けられ、一歩づつ高度を上げていった。
 頭上に綺麗な小屋が見えて来た。

 女人堂に着いた。
 ここまで丁度1時間。疲れた身にしては、中々良いペースである。


 堂内を覗いてみた。中央の祭壇には、御幣(右側の白い紙)が捧げられ、観音像(左側の立像)が安置してあった。

 女人堂と言う名前からして、昔の女性はここから先へ進むことは許されず、この場所で真言を唱え、頂上の祭神を拝んだに違いない。

 そんなことを思いつつ、日向のベンチで一服することにした。


どういう訳か鳥居が

千本檜小屋と地蔵岳が目の前に

女人堂から先が更にキツイ登りとなった。
 急な一枚岩には長い鎖が掛けられ、規模の違いはあるが、四国の石鎚山を思い出した。

突然、平坦な場所に出た。薬師岳である。
 八海山の頂稜部は、八ツ峰と呼ばれている。それらのピークを繋ぐ山岳路は修験の場であり、このように仏道に因んだ名前が付いている。

 先ずは薬師様を拝んで、直ぐ前に迫った千本檜小屋へ向かった。


千本檜小屋

越後駒ケ岳が大きく見えた


これから向かう地蔵岳

カマボコ型をした千本檜小屋に着いた。
 ここも日影が無いので、日向で休むことにした。

 さー、どうしよう?
 この先の八ツ峰を全て制覇して戻ってくるには、2時間ほど掛かると計算だ。

 時間は問題ないが、これから先は、滑落・死亡事故が多く起こっている険路だ。
 その前に、一服しよう。時間はたっぷり残っている。

若い頃はへっちゃらだったのに、最近の俺はビビリ屋になってしまった。
 ビビリ屋は、周りの行動が気になるものである。

 抜きつ抜かれつで登って来た地元のオヤジは、そのまま引き返して行った。
 直ぐ傍で休んでいた若者3人組は、一人が留守番役で2人だけが手ぶらで登って行った。
 5分前に先に進んだ中年3人組は、地蔵岳を諦めたらしく、わいわい言いながら戻って来た。

 俺は一人旅なんだから、進むも戻るも自分で決めれば良いのに、こういう時は誰かに背中を押してもらい。
 
 決断の時が来た。出て来た結論は「行けるところまで行ってみよう!」と、何とも曖昧なものだった。

 ここから先は、鎖や梯子の連続する岩場である。ストックが邪魔になりそうなので、ザックに括り付けた。


地蔵岳直下の奇岩

地蔵岳

 最初のピークは、地蔵岳である。
 西側に廻り込んで、ロープと鎖を伝ってピークに立った。

 この地蔵岳は、2009大河ドラマ「天地人」のオープニング映像で直江兼続を演じた妻夫木聡が立っていた場所である。


 次のピークが直ぐ前に見え、人影が動いていた。


地蔵岳から見た不動岳

不動岳の頂上に祭られた不動明王

直ぐ前に迫る七曜岳

 登った道を一旦戻って、稜線伝いに岩の上を歩いて行くと二番目の不動岳に着いた。

 頂上には、立派な不動明王が祭ってあった。

  空に雲が掛かって薄暗くなってきた。視界は良いが、その先の七曜岳が異様な姿に映っていた。

 先に進もうか?戻ろうか?ここで迷った。
 なぜかと言うと、先っきの登山客は皆んな引き返したようだし、「難路・危険・鎖の連続・滑落事故多し・初心者は立ち入らないこと。」の旨を記した警告板が立っている。

 ただの警告だと思えばそれまでだが、この先に人影が見えないのが心細く、どうしても先の一歩が踏み出せない。
 それに、黒い雲も厚さを増してきたし、この先で雷にでもなったら生きた心地がしない。


 不安材料が次から次へ浮かんできた。
 俺も此処から引き返そう。勇気よりも逃げ口上が勝ってしまった。


地蔵岳から見下ろした千本檜小屋と薬師岳

小屋へ戻る途中の奇岩

 戻るとなったら、気が楽になった。
 小屋に戻ってビールに飯だ。

 来るときには気付かなかった男根に似た奇岩が、白い空を突いていた。


今日の昼飯
 小屋に戻ってきた。

 管理人の兄ちゃんが渡して寄越したビールが地元の銘柄だったので、旅をしている気分になった。
 もう一つの地元の全国ブランド「八海山」も置いてあったが、昼間から日本酒を飲むのも気が引けた。

 この様に、三日とも同じような昼飯だが、山の上では仕方ない。

魚沼平野を見下ろす

コギ池
 女人堂で一休みして、登った道を引き返して行った。
 
 途中に分岐があり、左へ進むと小さな池があった。

 左膝が痛くなってきた。
 大事に至らなければ良いが、ゆっくりと下って行った。

山頂駅

山麓駅から仰ぐ八海山
 山頂駅まで戻ってきた。
 今日も一日、大変お疲れ様でした。

 それにしても、安全第一の一日だったなー。
 こんな安全運転で良いのかなー。
 
 もう若くないし、情けないが、こんな山歩きしかできない自分を認めることにしよう。