越後駒ケ岳

・期間  2013年8月17日(土)
・山域  新潟県
・形態  単独・ピストン
・行程  枝折峠→明神峠→小倉山→越後駒ヶ岳→小倉山→明神峠→枝折峠

 今夏の本命は、越後の名峰「駒ケ岳」だ。最もポピュラーな枝折峠から往復した。

8/17(土)晴れ

 
枝折峠(5:30)→明神峠(6:15)→道行山(7:15)→小倉山(8:00-8:15)→前駒(9:15-9:30)→駒の小屋(10:20-10:35)→駒ケ岳山頂(10:50-10:55)→駒の小屋(11:10-11:45)→前駒(12:15-12:20)→小倉山(13:00-13:15)→道行山(14:15-14:30)→明神峠(15:20)→枝折峠(15:50)


或る秋の日、越後平野から眺めた越後三山は、
遥か遠くの雲の彼方に浮かんでいるように見えた。
いつか、あの山を・・・”と思っていたが、他所にばかり足が向いてしまい、
越後の山は、まさに“遠くて手の届かない山”となっていた。

今年こそ、越後駒ケ岳をやってみよう!



枝折峠

最近の山泊は、山麓にある「道の駅」を利用しているが、俺と同じような車中泊の貧乏ハイカーも多く、非常に心強い。
 午前4時、道の駅”ゆのたに”で朝を迎え、冷たい水で顔を洗ってから車を走らせた。
 
 奥只見シルバーラインの長いトンネルを抜け、銀山平経由で枝折峠(「しおれとうげ」と読む)に到着した。
 この時間で駐車場の8割が埋まっており、この山の人気度が見て取れた。

 ※ 駐車は30台程可能、綺麗なトイレあり


歩き出して10分の尾根道

越後駒ケ岳は、何処から登っても距離が長い。
 枝折峠ルートが最も短時間で往復できるが、それでも長丁場には変わりない。
 今日も猛暑を覚悟してゆっくりと尾根道を歩き出した。


銀山平を覆う滝雲(沢に流れ落ちている)

歩き出して15分。数人のカメラ屋さん(写真愛好家)が、立派なカメラを大きな三脚に据え付けて、シャッターのタイミングを待っていた。
 レンズの向く方に目をやると、銀山平を低い雲が覆い、溢れた雲が尾根を越えて沢に向かって滝のように流れ落ちていた。
 

 あーー、これが滝雲かー!素晴らしい景色だなー!
 自然が描き出す見事な光景に暫し見惚れてしまった。


折立明神の社


明神峠

ゆっくりと歩くんだよ!と分っていても、何時ものペースが身に付いてしまっている。
 1時間もしないうちに、折立明神を通過し、明神峠に到着した。


途中の池塘

道行山の分岐

登山道は、道行山の直下を通過して小倉山まで、幾つかのアップダウンを繰り返しながら、徐々に高度を上げて行く。
 それは、地形図やネットの山レポートでも確認済みだが、自分の足で歩いてみないと、その度合いは分からない。

 
 7時を過ぎ、元気を出し始めた太陽が猛烈な暑さを運んできた。
 このルートは、日差しを遮る高木林もなく、始めから終りまで灼熱光線に曝されることは必至だ。布垂れ付きの帽子で首筋を保護し、スポーツドリンクを小まめに飲むことにした。


駒ヶ岳が顔を見せた

荒沢岳の稜線(その奥に尾瀬の山々)

道行山を過ぎたところで、駒ケ岳が目の前に飛び込んできた。
 こう見ると、確かに素晴らしい山だ。それにしても遠いなー!
 
 東に目を向けると、荒沢岳の稜線が緑色に光って見えた。


小倉山

若いカップルと駒ヶ岳

鞍部まで下ってから、小倉山へ登って行った。
 100mほどの登りが、こんなに辛いとは!?
 汗だくになって小倉山に到着すると、先を歩いていたカップルに追いついた。

 休憩が終わったらしく、ザックを担いで出発の準備をしていた。
 

 「こんにちは!暑いですねー。」と彼。
 『暑いし、バテるし、こんなにキツイとは・・・』と俺。
 「同感です。日影が無いのでここで休憩しましたが、休んだ気がしません。」
 『そうですね。日差しが辛いので、私はもう少し我慢します。」
 
 と言うことで、軽い挨拶を交わしてから先に進んだ。
 


日陰が有り難い

5分ほど歩くと、低木に囲まれたトンネル状の道(勝手に“日影トンネル”と名付ける)に変わった。
 短いトンネルだが、日影を求めて先を急いだ甲斐があった。行き交う登山者の邪魔にならないよう、道端の草の上にザックを置き、それを枕に仰向けになった。
 一人旅で良かった。パーテーならこんな休み方は出来ないね!

 休憩していると、下山者が降りて来た。

 こんな時間に下山とは?昨日は、駒の小屋に泊まったんだろう。彼の元気な足取りが羨ましく思えた。


百草の池


百草の池から見上げた前駒への登り

百草の池を通過して(と言っても池は見えない)、前駒への急登に差し掛かった。

 実はここからが登りの本番で、この先には岩場の急坂が待ち受けている。今まで費やしたエネルギーを返して欲しい。


前駒で小休止(正面に駒ヶ岳)

前駒の急坂を我慢して登り切り、平になった岩場で休憩していると、小倉山で出逢ったカップルが追いついて来た。

 「お疲れ様です」と俺
 『疲れますねー。こんなにキツイとは思いませんでしたよ。』と彼

 先っきのセリフとは、そっくり逆になったが、この暑さじゃバテるのも仕方ない。
 彼らも直ぐ先でザックを降ろした。


駒の小屋と駒ヶ岳

前駒を過ぎると、急な岩場に変わった。
 親切なペンキマークに導かれて、一気に高度を上げていった。

頭上に鉄塔が見えて来た。駒の小屋が近い。もう少だ。頑張ろう!

 予定した時間で駒の小屋に到着した。

 小屋の前には、冷たい水が流れている。広場では、登山者が寛いでいる。山頂付近には、雪渓が残り、雲が湧いている。どれもこれも、ありふれた山小屋の風景だ。俺もその中に同化しよう。


中ノ岳への分岐を登る

頂上直下の雪渓

山頂近くに咲いていた花(1)
山頂近くに咲いていた花(2)

山頂まで20分で行けると判断し、ザックをデポしてカメラとタバコだけをポケットに突っ込んで歩き出した。

 コバイケイソウの群落が緑の斜面を白く彩っている。名も知れぬ高山植物が、小さな花弁を太陽に向けて揺らしている。小さな蜂が大きな羽音を立てて、花々の間を忙しなく飛び交っている。
 そこには“花の百名山”の名に恥じない綺麗な夏景色が広がっていた。


中ノ岳分岐から見た山頂

中ノ岳への分岐まで登って来ると、駒ケ岳の頂上が直ぐ先に見えた。
 人影が動き、話し声が近くなってきた。


山名標と鐘

山頂の像と剣

頂上に到着した。
 期待した眺望はなく、辺りは薄い膜が架かったように白く濁っていた。

 ここだけが雲に包まれているのかなー?
 視界が良ければ、中ノ岳、八海山、荒沢岳など越後の名だたる山々が間近に見え、遠くに三国や奥会津の山々まで見渡せるのに、本当に残念である。


 山名標の写真を撮っていると、背後から地元のベテランらしい人の声が聞こえた。
 「この前は、富士山が見えたんだけど、今日は駄目だな―。」

 へーー、ここから富士山が見えるの?この前って、いつ?季節は?・・・と、頭の中で質問したところで、二度と来ることがない俺には、然したる意味はない。


小屋を見下ろす

広くない山頂は、逃げ場がない。
 他の登山客への迷惑を考え、恒例の“頂上タバコ一吹かし”の儀式を封印し、三角点にタッチして戻ることにした。


広場の様子
(後ろ向きに座っている青シャツの人が管理人)



今日の昼飯

小屋の管理人から良く冷えたビールを購入し、今シリーズ恒例の魚肉ソーセージを齧った。

 
昼飯を食べ終えて一服していると、小屋前の広場が混雑してきた。

 そろそろ下山しよう。炊事道具を片付けて、少しだけ軽くなったザックを背負った。

 
※コンロをベンチに載せたのは撮影のためです。
  実際は、地面に置いてお湯を沸かしました。


百草の池付近に咲いていたアジサイ

ここ10年程は、加齢のせいか?下りが辛くて仕方ない。
 右膝にサポーターを巻き、ストックを突きながらゆっくりと下って行った。
 
 前駒、百草の池を通過するが、太陽は相変わらず元気で灼熱光線を容赦なく放出している。下りなのに汗が噴き出て止まらない。スポーツドリンクをチューチュー吸いながら、小倉山の手前の日影トンネルで一休みした。


明神峠が遠い(あの山の先が明神峠)

小倉山を下ってからが辛かった。
 道行山で一服し、都合4度のアップダウンを繰り返して、ヘロヘロの体で明神峠まで戻って来た。
 
 時間を計算すると、登りの2割増だ。いくら疲れているとは言え、登りより時間が掛かるとは情けない。
 このタイムじゃー、ダメだよなー!


枝折峠が見えた

枝折峠に戻ってきた

登っている時には気付かなかったが、明神峠からは国道が山肌を削り、白蛇のようにうねって見えた。
 あの岩肌の場所が終着点の枝折峠。30分の我慢だ。転ばぬよう足元に気を付けながら慎重に下って行った。

 無事に枝折峠まで戻ってきた。
 今日も一日、お疲れ様でした。