荒島岳
・期間 2013年5月3日(金)
・山域 福井県
・形態 単独・ピストン
・行程 勝原スキー場→シャクナゲ平→荒島岳→シャクナゲ平→勝原スキー場
※ 越前勝山の名山「荒島岳」。陽光輝く残雪の山を思いっ切り楽しんだ。
5/3(金)晴れ
勝原スキー場(7:20)→登山口(8:00-8:05)→トトロの木(8:25-8:30)→シャクナゲ平(9:30-9:40)→荒島岳山頂(10:50-11:20)→シャクナゲ平(12:00)→登山口(12:50-13:05)→勝原スキー場(13:30)
| 2年前の夏に「白山」とセットで登山を計画したが、豪雨に見舞われて泣く泣く諦めた。 今年のゴールデンウィークの遠征は、その悔しさを晴らす意味もある。 残雪を求めて、春の「荒島岳」に挑んだ。 ![]() 荒島岳(出典:Wikipedia) |
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![]() 道の駅「九頭竜」 |
道の駅「九頭竜」で朝を迎えた。 冷え込みが厳しく薄い毛布2枚では我慢できない。直ぐにエンジンを駆けて暖房のスイッチを入れた。 前夜に「ひるがの高原SA」を仕入れたオニギリとカレーパンを朝飯として、登山口の勝原スキー場へ向かった。 |
![]() 勝原スキー場の駐車場 ![]() 登山コースの案内板 |
勝原スキー場の駐車場には、10数台の先客があった。 支度を整えていると、1台の軽自動車が直ぐ脇に入ってきた。 降りて来たのは、無精髭の青年で車の後でガスバーナーを点火して朝飯の支度を始めた。 こう言う時に掛ける言葉は決まっている。 「何処からですか?」と俺。『昨日、大山に登ってきました。』と彼。「へー!移動だけで大変でしたね。」、『車の運転はへっちゃらなんですが、登っている途中から雪が降ってきまして、寒いし視界は悪いしで散々でした。』、「私も3年前のこの時期に登りましたが、残雪も多く、確かに寒かったですね。」 それではお先に・・・ってことで、ゲートをくぐってスキー場のゲレンデを歩き出した。 |
![]() スキー場のゲレンデを登る ![]() リフトの残骸(休憩に丁度良い) |
このスキー場は廃業して久しいが、ゲレンデはそのままの形で残っていた。 ゲレンデのトップまでは単調な登りが続き、ゴロ石に注意しながら高度を上げて行くと小広場に着いた。ここがゲレンデトップの登山口で、勝原の集落が遥か下に見えた。 傍らに放置された赤錆びたリフトの残骸に腰掛け、汗を拭いてから登山道に入った。 |
![]() ブナの林を登って行く |
直ぐにブナの林に変わった。 ブナは好きだなー!。ブナの林を歩いていると、森の住人になったような気になる。ブナの林は、最高の癒し場所だ。 何でかなー?俺の中に眠っている野生のDNAが甦るからだろうか?一人静かに歩いていると、ブナの澄んだ息遣いや仲間同士の会話が聞こえてくるような気がした。 |
![]() トトロの木 ![]() 階段が多くなってきた(結構な傾斜です) |
ブナが広がる登山道は、傾斜が増して階段が多くなってきた。 急な傾斜を一歩一歩登って行くと、左手に奇妙な姿をしたブナが立っていた。 「トトロの木」と看板に書いてある。誰が名付けたのか?「トトロ」に登場する大木には遠く及ばないが、雰囲気だけは似ている。 |
![]() 雪に覆われたシャクナゲ平 ![]() 木々の間から荒島岳が見えた |
暫くして雪道に変わった。 昨年のGWは「四阿山」に登ったが、腐った雪に苦労した。そんな訳で今回はワカンを持ってきたが、まだ出番はない。 キックステップで確実に登って行った。 「シャクナゲ平」は真っ白な雪原だった。 雪の上に座るのは気が引けたので、折れた木枝に腰を降ろして一服した。 真っ青な空を仰ぎ、澄んだ空気を思いっ吸い込む。山に居る幸せを感じる時である。 一服している間に先程の無精髭の青年がノンストップで通り過ぎて行った。足が速い若者が羨ましくなった。(俺も若い頃はそうだったなー。) |
![]() モチ壁 |
登山道はここから一旦下ってから「モチ壁」と呼ばれる急斜面になった。駐車場の看板には”モチ壁付近で滑落事故が多発しています。十分に注意して下さい。”・・・なんて警告文があったが、雪もなく、鎖もあり、梯子もしっかりしているので難なく通過できた。 それにしても、一人がやっと通れる幅しかないので、混雑時には相当待たされるだろうなー! |
![]() 白山を遠望する ![]() 小荒島岳と勝山盆地 |
「モチ壁」を過ぎると、小さなピークに立ち視界が一気に開けた。 北側には名峰「白山」が、東側には「ひるがの高原」の山々が白く浮かんでいる。背後には「小荒島岳」の向こうに勝山盆地の田園風景が広がっていた。 |
![]() 三つのピーク、本峰は? |
雪に覆われた頂きが三つ並んで見えた。 「荒島の本峰は一番奥だろうか?ここから20分ってところかな?」 今までの経験から多分間違えないだろう。 |
![]() 二つ目のピークが頂上だった。 |
背の低い灌木は雪の下に眠っている。 二つ目のピークを目指して真っ白い斜面を登って行くと、人々の喧騒が聞こえてきた。 へー!この先が頂上なの? |
![]() ツアー客の御一行 ![]() 山名標 ![]() 白山 ![]() 御嶽・乗鞍方面(奥の白い山) ![]() 能郷白山 ![]() 平家岳(中央の三角錐の山) |
頂上に辿り着いた。 山名標を大勢の人が囲んでいる。どうやら百名山のツアー客らしい。 登頂の証に”大事な儀式”をしなければならない。ツアー客を掻き分けて、その儀式(三角点タッチ)を済ませてから、頂上広場の隅っこに避難した。 流石に名山「荒島岳」である。抜群の眺望である。 四周の山々が一望だ。「白山」、「御嶽山」、「乗鞍岳」、「北・中央アルプス」の峰々。「能郷白山」、「平家岳」などの奥美濃の山々・・・。 山ばかりではない。勝山・大野の盆地を越えた遥か向こうには、若狭湾の海原まで見えるではないか! オニギリを食べて一服していると、ツアー客が動き出した。 ガイドによる人員点呼が始まり、40人ほどの大行進が始まりそうだ。 隣に座っていた中年男が名古屋弁で声を掛けてきた。 彼の言葉を要約すると、「最近のガイドは、山の常識を知らない。あんな集団を一塊で降ろすなんて非常識だ。他の登山者の迷惑を考えていない。」であった。 俺は標準語で『少なくとも10人ぐらいのグループに分けるべきだ。グループごとに間隔を開けて歩く。ガイドの人数が足りない。』と同調した。 ツアー登山に関しては肯定も否定もしないが、名古屋弁男が言うように、ガイドは山の常識をお客にしっかりと教えて欲しい。 山頂の三角点や山名標は誰もが写真に収めたい登頂の証である。その前や周りで弁当を広げている客を注意もしないガイド・・・。 客も客だ。金を払っているから良いってもんじゃない。最低限の常識だけは頭に入れてから山に登って欲しい。 |
![]() 白山神社の祠 |
名古屋弁男の雄弁に、ついつい乗ってしまったが、あのツアー客の後に付いて降りるなんて、真っ平御免である。 「白山神社」に手を合わせてから、ツアー客を追ってに雪原を下って行った。 |
![]() 頂上を振り返る |
雪庇を避けて駆け足で雪原を下り、40人もの大行列を一気に追い抜いた。 この陽気、この景色。ゆっくりと下って行こう。 子連れの家族、中学生の集団、中年夫婦、若いカップルが次から次へと登ってくる。足元を見ると、残雪期には不適当な人も多い。俺の背中にはワカンが括り付けてある。 山は老若男女、誰でも迎え入れてくれる。登山ブームは衰えを見せない。”山の常識”もブームに合わせて変化するらしい。「昔の常識は今の非常識」なんて諺も有るし、山のイロハをもっともらしく講釈する自分が馬鹿らしく思えてきた。 他人をとやかく言うつもりはない。しかし、自分だけは「常識」を守もろうと思う。 「シャクナゲ平」を過ぎてブナの林に入ると、小鳥の囀りが聞こえてきた。 空の青さは変わらない。心地よい春の風に背中を押されて、勝原の集落を目指して一人で歩いて行った。 |